「母のために決めた」ゴール 独2部の20歳日本人MF、夢を叶えた“生え抜きの星”

ブンデスリーガ2部フォルトゥナ・デュッセルドルフ所属アペルカンプ真大【写真:Getty Images】
ブンデスリーガ2部フォルトゥナ・デュッセルドルフ所属アペルカンプ真大【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】デュッセルドルフで飛躍するアペルカンプ真大、母が栄養面でサポート

 ブンデスリーガ2部フォルトゥナ・デュッセルドルフが前回1部昇格を果たした2017-18シーズンはFW宇佐美貴史(ガンバ大阪)、MF原口元気(ハノーファー)という2人の日本人選手の活躍が大きかった。そして今季のデュッセルドルフでは1人の新しい日本人選手が重要な役割を果たしている。

 アペルカンプ真大、20歳。ドイツ人の父親と日本人の母親を持ち、父親のドイツ転勤がきっかけで15歳からドイツへ移り住む。デュッセルドルフでトライアウトを受け、U-16チームへ合格。そこから順調にU-17、U-19、U-23とステップアップを果たし、昨年プロ契約を結びんでいる。

 そして今季第2節ヴュルツブルガー・キッカーズ戦(1-0)に後半17分から途中出場し、待望のプロデビューを飾ると、決勝点の起点となるプレーで勝利に貢献した。さらに翌節のホルシュタイン・キール戦(1-2)ではトップ下の位置でプロ初となるスタメン出場。クラブにとっても久しぶりの育成からの生え抜き選手ということで、大きな期待を受けている選手だ。

 ここまで15試合に出場し、スタメン出場は10試合を数える。プレーに関与する頻度は試合を重ねるごとに増え、初ゴールも決めている。第12節オスナブリュック戦(3-0)の前半11分だ。FWダビド・コフナツキからのパスをペナルティーエリア内で受けると、落ち着いてコントロールし右足でゴール左へと流し込んだ。

「今まででやっぱり一番の瞬間で、ものすごく嬉しかったです。チームのユースから来て、トップチームに上がって、点を取って。夢が叶った」

 そう優しく笑った後、「でも、一番嬉しかったのは」と言って言葉をつなげた。

「お母さんのためにゴールを決めた。これまで僕のことを一番サポートしてくれていたから。『最高のプレゼントをありがとう、今までずっとこの日を信じてきてよかった』と最高に喜んでいました。もっと活躍して、もっともっとハッピーにしたいですね」

 アペルカンプの母は、夢に向かって努力を重ねる息子のために自分ができることを探していた。親切のつもりでやったことが負担にならないように、本当に大切で必要なことはなんだろうと考えていた。普段の生活の中で自分ができることとして、食事にもっと気をつけてあげたいと思い、強い体、怪我をしにくい体を作るために栄養に関するライセンスをドイツで取得している。

 誰だって1人の力で、夢を成し遂げることなんてできない。多くの人の支えがなければ辿り着けない。だからアペルカンプは、感謝の思いをいつでも心に抱えてピッチに立っているのだ。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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