ドイツで急成長中の20歳MFアペルカンプ真大 1部昇格へ「創造性を期待されている」
【ドイツ発コラム】2部デュッセルドルフで今季14試合に出場、レスラー監督も期待
昨季17位でブンデスリーガを終え、2部へと降格したフォルトゥナ・デュッセルドルフは、1年で1部に返り咲くことを目標に今季を戦っている。昇格する一番のチャンスは降格初年度。予算規模縮小による人員流出を可能な限り抑え、傷が広がらないうちに一気にまた階段を駆け上る。2部滞在時間が長くなれば長くなるほど、再昇格はどうしても難しくなってしまう。
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だが序盤戦は大苦戦していた。陣容が固まらず、パフォーマンスが安定しない。第9節ではボーフムに0-5と完敗し、順位は12位。昇格どころか、降格の危険性さえ感じさせる雰囲気だった。地元紙からの“攻撃”も厳しい。チームとしてのまとまりがない、攻撃のイメージがない……。ウーベ・レスラー監督ではダメだという論調も多く見受けられた。
今季からトップチームでプレーし、ここまでリーグ戦14試合に出場している20歳MFアペルカンプ真大も、そのあたりの難しさを感じていた。
「夏に多くの選手がチームを去って、加入してきて、新しいチームだったんですね。チームとして100%ではなかった。プレーにおけるタイミングとか、チームとしての動きが上手くいってなかったんだと思います」
そんな暗い流れが変わったのは、第10節ダルムシュタット戦だ。試合終了間際にFWダヴィド・コフナツキが決めた逆転ゴールで3-2と久しぶりの勝利を飾ると、この試合から9試合連続負けなし(6勝3分)で上位へと浮上している。
好調の理由として、それまでは最適な組み合わせやシステムを模索していたチームが、第11節カールスルーエ戦(2-1)からは4-4-2にシステムを固定し、やりたいサッカーが機能してきたこと、そのやり方が浸透してきていることが大きい。そしてアペルカンプはその第10節ダルムシュタット戦から連続でスタメン起用されている。
「監督からは創造性を期待されていると思っています。中盤の選手として、いつも僕は相手が考えていない、思いもつかないプレーをやりたい。いいパス、いい動きで、ゲームをコントロールしたいです。最近は右サイドで起用されていますけど、試合になったら中に入ってプレーしています。監督もそうしたプレーを求めていますし、そうすることで自分のプレーを見せられると思っています。右サイドバックの(マティアス・)ツィンマーマンといい感じでやれています」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。