長谷部&鎌田のフランクフルト、快進撃の理由 選手が“弱さ”を告白できる監督の存在

ブンデスリーガで9戦無敗(7勝2分)と好調なフランクフルト【写真:AP】
ブンデスリーガで9戦無敗(7勝2分)と好調なフランクフルト【写真:AP】

【ドイツ発コラム】直近9戦無敗のフランクフルト、選手の長所を引き出すヒュッター監督の手腕

 元日本代表MF長谷部誠と日本代表MF鎌田大地がプレーするフランクフルトは、ブンデスリーガで9戦無敗(7勝2分)と好調で、同期間中におけるリーグ1位の戦績をあげている。25得点10失点という数字にも表れているように、攻守のバランスもとてもいい。

 11節終了時で勝ち点13の9位だったフランクフルト。負け数は「2」と悪くはなかったが、攻撃のパターンが単調で、上手く相手守備網をこじ開けられないことが問題とされていた。なかなか勝ち切れない試合が続いていたわけだが、今振り返ってみるとバイエルン・ミュンヘンには0-5で大敗したものの、RBライプツィヒ(1-1)、ドルトムント(1-1)にはそれぞれ引き分けている。ビーレフェルト(1-1)、ケルン(1-1)に勝ち切れなかったのは確かに痛かったが、シュツットガルトには0-2から2-2に追いつき、ウニオン・ベルリンとは点の取り合いの末、3-3の引き分けに持ち込んでいた。きっかけをつかんだら、そこから上昇気流に乗れるだけの下地はすでに作られていたと捉えることもできるかもしれない。

 ではそのきっかけはというと、第13節アウクスブルク戦(2-0)から採用された3-4-2-1システムが上手く機能したことがあるわけだが、システムや組み合わせがいくら噛み合っても、それぞれの選手がチームとしてのイメージの中で自分の長所を発揮できる状態でなければ、試合を勝ち切ることはできない。

 その点において、アディ・ヒュッター監督の選手を導く手腕の確かさというのは高く評価されるものがある。監督として優れているのは、サッカーの専門的な知識が豊富だからではない。オーストリア代表DFマルティン・ヒンターエッガーが、「ビルト」紙のインタビューにこう答えていた。

「選手としての僕を正しく評価してくれるだけではなく、その先にある人間としての僕を理解してくれるんだ。人間的な関係性が上手くいった時、選手は初めて自分のパフォーマンスを最大限に発揮することができる。アディはその能力がとても優れているんだ。

 実はシーズンの初めの頃、調子の良くない時期に相談したことがあった。『監督、この4試合どうしちゃったのか分からないんだ。自分のプレーは悪くはなかったけど、ベストプレーというわけではなかった。ボールを持った時に不安が襲ってきて、どうしたらいいか分からなくなる時があるんだ』って。話を聞いた監督は、またトップパフォーマンスが発揮できるようにと、一緒に取り組んでくれたんだ。こうしたことをね、監督に直接ぶつけることができて、監督がそんな僕を理解してくれるという関係性があるのは大きなメリットでしかない。相談をしてから2週間後には、また僕の調子はどんどん上がっていくようになったんだ」

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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