元日本代表MF名波浩が語る“司令塔論” 「僕自身、10番っぽいと思ったことがない」

“現代チック”な司令塔の例に挙げたシティMFケビン・デ・ブライネ【写真:Getty Images】
“現代チック”な司令塔の例に挙げたシティMFケビン・デ・ブライネ【写真:Getty Images】

“現代チック”な司令塔は「アタッキングサードでいろんなことができる選手」

 左足から繰り出される美しいパスで攻撃陣を巧みに操り、日本サッカー界で一時代を築いた名波氏だが、現代でお気に入りの司令塔はどんなタイプの選手なのだろうか。「やっぱりシャビ、イニエスタは凄いですよね」と、2000年代以降のバルセロナとスペイン代表の黄金期を支えたMFシャビ・エルナンデス、MFアンドレス・イニエスタ(現ヴィッセル神戸)の名前を真っ先に挙げた名波氏は、「現代チックな選手なら」と語り選手名を列挙した。

「マンチェスター・シティの(ケビン・)デ・ブライネは、ものすごく現代の司令塔という感じだよね。今風なアタッキングサードでいろんなことができる選手。あとはラツィオのルイス・アルベルトと、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスかな。この2人は10番っぽいというか、昔いてもおかしくないようなタイプ。足下でもちょこちょこできるし、スルーパスもバーンっと出せて点も取れる」

 名波氏によれば、現代の司令塔にはフィジカルや縦への推進力を備えた選手が多く、また「攻守の切り替えのなかでファーストディフェンダーとしてボールを奪える、守備の上手い選手」も目立つという。その代表例として挙げたのは元スペイン代表MFダビド・シルバ(レアル・ソシエダ)で、「体は小さいけどクリーンにボールを絡め取っちゃう」と評している。

 また配球役としては、リバプールのスペイン代表MFチアゴ・アルカンタラの名前も挙げ、「ボールを1試合で200回とか受けるような選手だからね。1分に2回以上回ってくる計算だから、ものすごい経由率」と脱帽。Jリーグでは元日本代表MF遠藤保仁(ジュビロ磐田)が長年、司令塔タイプの代表格として君臨しているが、名波氏は川崎フロンターレのMF大島僚太の名前も挙げて期待を寄せた。

「現代サッカーでは、とにかく“遊び”がなくなっている。サイドを個で打開したり、相手が揃う前に一か八かのクロスを上げたりするシーンも、ヨーロッパの試合を観ていたら多い。休めない、休ませないようなサッカーが主流」と分析した名波氏。変わりゆく戦術トレンドのなかで、新時代の旗手となるような司令塔の活躍を望んでいた。

[プロフィール]
名波浩/1972年11月28日生まれ、静岡県出身。順天堂大学を卒業後の95年にジュビロ磐田に加入し、左利きの司令塔として黄金期を迎えたチームの中心として活躍した。Jリーグ通算331試合34得点、Jリーグベストイレブンに4度選出。1999-2000シーズンにはセリエAのヴェネツィアでプレーした。日本代表としても国際Aマッチ67試合9得点の成績を残し、1998年フランスW杯には背番号10をつけて出場。2000年アジアカップではMVPを受賞し、日本の優勝に大きく貢献している。08年に現役引退。14年から19年まで磐田監督を務めた。
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(FOOTBALL ZONE編集部・谷沢直也 / Naoya Tanizawa)



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