34歳ノイアーが「ブンデス最強GK」であり続ける理由 守護神に求められる“メンタリティー”とは?

ドイツ1部VfBシュツットガルトのU-14、15でGKコーチを務めている松岡裕三郎氏【写真:VfB Stuttgart】
ドイツ1部VfBシュツットガルトのU-14、15でGKコーチを務めている松岡裕三郎氏【写真:VfB Stuttgart】

経験によって補強できる部分は「他のポジションよりも大きい」

――身体的な衰えなどを経験でカバーするということがよく言われますが、そこにもまたメンタリティーが関わってくるんですね。

「そうですね。若い選手のほうが守備範囲は広いと思いますが、経験によって補強できる部分が他のポジションよりも大きいのは間違いないです。正確な判断をするためには、戦術をしっかりと理解している必要がありますし、試合の流れも読まなければいけない。そういった部分は試合を経験して養うものなので、若手のGKにとっては試合経験が何よりも重要だと思います。

 シュツットガルトではセカンドチームはドイツ5部リーグに所属しています。ユース上がりの選手はそこでプレーしていて、そういった経験を積む場所があることはすごく大切なんです。ユース時代は同学年の相手と対戦していますが、たとえ5部であっても相手は大人になります。そこでの経験はユース時代とは全く異なるもので、メンタリティーを養ううえではとても重要なものとなります」

――試合に出ることで、GKに必要なメンタリティーが鍛えられていく。だからこそ、年齢を重ねて多くのものを勝ち取ったノイアーが今もブンデス最高のGKに選ばれたというのは納得です。

「例えば、ベンチに座っている選手がいつチャンスが来てもいいようにしっかりと準備する力。これもGKとして必要なメンタリティーと言えます。プロであれば当然のことですが、そういったメンタリティーの重要性は育成の段階からプロとして成功を収めるまでずっと変わらないものです。選手たちにはそのことをしっかりと伝えていきたいと思います」

<PROFILE>
松岡裕三郎(まつおか・ゆうさぶろう)/1984年10月8日生まれ。鹿児島の名門・鹿児島実業高で全国高校サッカー選手権大会に2度出場。夏のインターハイでは大会優秀GKにも選ばれた。同志社大に進学し、卒業後に単身ドイツへ。独7部フェルバッハで選手としてプレーした後、指導者に転身。2017年6月にUEFA B級ライセンス相当の修了書を取得。シュツットガルト・キッカーズのU-15、16のGKコーチを経て、現在はドイツ1部VfBシュツットガルトのU-14、15でGKコーチを務めている。

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)



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