レジェンド3人“揃い踏み”の横浜FC 首位・川崎を追い詰めた指揮官の“プラン”とは?

難しい戦い方を成立させた3人の技術と経験

 守りに入りすぎてもいけないし、攻撃に気がはやりすぎてもいけない。その難しい戦いに、レジェンド3人の技術と経験が必要だった。サイドハーフとして守備の負担が大きかった中村俊輔はやや精彩を欠いたが、松井とカズは期待された役割をまずまず果たした。カズは「ペナルティーエリアでの仕事は少なかったので自分では物足りなかった」というが、エリアの手前で松尾のサイド突破を導く好パスを供給している。松井は中盤の底でボールを失うことなくさばき、チームの前半唯一となるシュートを放った(当たりが弱く、公式記録には残っていない)。

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「実際に、ああいう選手たちがいるとそれだけでかなりプレッシャーになったと思う」と鬼木監督が振り返ったように、川崎もやや慎重だったが、横浜FCは理想通りに「前半を何とかしのぐ」ことはできなかった。こちらもレジェンドである中村憲剛(39歳)のコーナーキックからこぼれ球を田中碧が、詰めた松井と中村俊輔をかわしてファーのサイドネットを揺らす。その1失点は下平監督にとっても想定内だったようだが、後半開始直後、旗手怜央に追加点を奪われたのは痛かった。しかし2分後、中村俊輔が左足の一振りでそれを帳消しにする。伝家の宝刀・左足から放たれたコーナーキックは川崎守備陣の動きを見切ったようにわずかなスペースに上空から曲がり落ち、小林 友希の背中に当たって川崎ゴールに転がった。

 横浜FCは後半11分にカズを下げてFW斉藤光毅、同15分には松井と中村俊輔を下げてMF手塚康平とMFレアンドロ・ドミンゲスを投入。この終盤から、逆に試合開始直後のようなハイプレスと、レアンドロの能力を生かした縦に速い攻撃を仕掛ける。同22分に旗手のゴールで突き放されたものの、同29分に佐藤謙介のプロ10年目にしてJ1初ゴールとなるミドルシュートで1点差に迫ると、その後もいくつか決定機を作り、圧倒的に首位を走るチームに冷や汗をかかせた。

「守備は粘り強くやってくれていたし、攻撃でもビルドアップをめげずに何度も何度も繰り返して自分たちの形を作ろうとして、それが結果的にフロンターレの足を止めて自分たちの時間につながった」

 あと一歩で勝ち点を奪えるところまで川崎を追い詰めたのは、レジェンド3人を生かした下平監督のゲームプランにあった。「勝てはしなかったし、勝ち点は積めなかったが、選手たちは十分にやってくれた。自信になるゲームだったと思う」と指揮官は選手たちを労い、レジェンド3人がそれぞれの価値を証明したことは「チームの底上げにつながる」と笑みを浮かべた。

 13年ぶりのJ1出場となったカズは、この試合でJ1最年長出場記録を53歳6か月と28日に更新。等々力陸上競技場は、かつてのヴェルディ川崎時代のホームグラウンドだった。ただそれは「相当昔の話なので、あまり意識も考えもしなかった」といい、それよりも「このフロンターレ戦で得たものを次に生かさなければいけないし、今後のリーグ戦に出るチャンスを得られるように、チーム内での競争を頑張って、勝ち取らなければいけない」と、その目は次を見据えていた。

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(芥川和久 / Kazuhisa Akutagawa)



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