“技巧派MF”三好康児、ベルギーで勝負の2年目 連動性重視の新監督…トップ下で輝くか
【ベルギー発コラム】不完全燃焼だったアントワープ1年目、レコ新監督就任は追い風か
アントワープのMF三好康児が、日本を代表する若き逸材の1人であることは間違いない。ただし、海外挑戦1年目だった昨シーズンは周囲の期待に沿うような活躍を見せたとは言い難く、そのため今季は三好の真価が問われる勝負の年になりそうだ。
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昨季は、三好にとって我慢を強いられたシーズンだった。昨年8月20日に川崎フロンターレからレンタル移籍したが、その時点でベルギーリーグはすでに開幕済み。基本布陣とレギュラーの顔ぶれが固まりつつあるなかでの合流だっただけに、当初は満足な出場時間が得られなかった。
そうしたなかで迎えた11月10日の第15節クラブ・ブルージュ戦(2-1)は、転機になりかけた試合だった。首位を独走していた相手をホームに迎えた大一番でリーグ戦初先発を果たした三好は、前半30分にわずかにゴール横に逸れる左足での惜しいシュートや、左サイドを抜け出してグラウンダーのクロスでチャンスメークした同35分のプレーなど、前半からチームの攻撃を再三にわたって牽引。さらに後半19分には左サイドから上がってきたクロスボールに合わせようとゴール前に詰めて相手のオウンゴールを誘発し、チームに値千金の逆転ゴールをもたらした。同28分に途中交代で退く際、アントワープサポーターはスタンディングオベーションで三好を迎えたが、それも当然と思わせるような圧巻のパフォーマンスだった。
その後のリーグ戦2試合でもスタメンで起用され、三好を取り巻く状況は好転する兆しを見せていた。しかし、練習中に右足首を負傷し、約2カ月間の戦線離脱を余儀なくされてしまう。今年1月の後半にようやく復帰を果たし、2月に入って調子も徐々に上向いていたが、今度は新型コロナウイルスの感染拡大でベルギーリーグが中断に。マイナスの状態からスタートし、何度か上昇気流に乗りそうな時期もあったが、怪我や天災の影響で本来の実力を発揮しきれずに終わってしまったというのが、三好の2019-20シーズンだったと言える。
不完全燃焼だった昨シーズンからの巻き返しを期す三好にとって、ラースロー・ベレニ前監督に代わってイヴァン・レコ新監督が就任したのは朗報だったかもしれない。というのも、どう見てもベレニ前監督に率いられていた昨シーズンのアントワープの戦いぶりは、三好の特長とマッチしていなかった。
両サイドにフィジカルに優れた突破力のある選手を置き、彼らが個人で局面を打開してゴール前にいるエースストライカーのFWディウメルシ・ムボカニにボールを預けるのがアントワープの代表的な攻撃パターンで、両ウイングが個の勝負で勝てないと得点の匂いが全くしなくなるという試合が多かった。チームには相手のディフェンスと中盤の間のスペースで誰かがボールを受けて起点を作り、そこからコンビネーションで崩すという発想が皆無だったため、その狭いスペースでの敏捷性とテクニック、イマジネーションといった三好の持ち味が生きる場面がほとんどなかった。