Jリーグに「4-3-3ブーム」到来の兆し “象徴”クライフが「幅15メートル」に込めた意図

勝つためだけでなく「プレーする喜びを犠牲にしないスタイル」

 ポジションを固定気味にして選手をあまり動かさず、その代わりボールを動かしていく。選手が動きすぎてポジションがグチャグチャになってしまうとパスは回らないし、ハイプレスもやりにくい。だから各自幅15メートルがベストなのだが、これで上手くパスが回れば、より多くの選手がプレーに参加できる。

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 これが隠された目的……というか、クライフははっきりそう言っているのだ。

「子供でもプロでも、ボールに触ってプレーしたいものだ。より多くの選手がプレーに関与できたほうがいい」

 ほぼ全員で守って、1人か2人がカウンターアタックを仕掛けるサッカーでも勝てるかもしれない。だが、それでは満足にボールに触ってプレーできるのは1人か2人だけになってしまう。そうではなく、11人がより多くプレーする。そのための4-3-3や3-4-3であり、幅15メートルなのだ。

 勝つためだけでなく、より多くの選手がプレーに関与しながら勝利を目指す。プレーする喜びを犠牲にしないスタイル――。かつてのオランダが「トータルフットボール」と呼ばれたのは、そういう意味もあったのかもしれない。

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(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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