鎌田大地、衝撃ハットトリックで“壁”を突破 先制点に「1点以上の価値」があった理由

4バックになって「2枚でサイドを崩せるのが大きい」

 後半8分には、左サイドのDFエヴァン・ヌディカからのクロスをヘディングで決めた。シュートは相手に少し当たって方向が変わったが、得点者は鎌田になっている。

「(ヘディングでのゴールは)プロ2年目にアビスパ(福岡)戦で入れたことがありますけど、ラッキーだったというか、あれがオウンゴールにならず点になるんだったら、ブンデスリーガのオウンゴールになったやつ(ドルトムント戦)を点にしてほしいぐらいだなと思いましたけど。今年に入ってからいいスタートが全く切れてなかったので、どうにかして自分で流れを変えたいと思っているなかで、上手く流れを自分でモノにできたというのは、僕にとってもチームにとっても、本当に大きなゲームだったかなと思います」

 それにしても昨年はゴールチャンスに絡めそうなところに顔を出しても、良い形やタイミングでボールが出てくることが少なかった。だがこの試合では何度も、良い形で好機に絡み、次々に決定機に関わっていた。その要因は、どこにあるのだろうか。

「前半戦と大きく違うのは、ゴール前にラフなボールじゃなくて、(出し手が)もう少し高い位置からゴール前にボールが飛んできている。よりゴールに近づき、ボールに触れている機会が今日はすごく多かったので、僕にとってはすごくいいことだと思います。4バックになって、やっぱりサイドで(フィリップ・)コスティッチだったり(ダニー・)ダ・コスタが一枚でやっていた部分が、サイドバックも出て2枚でサイドを崩せるのが、一つ大きいところかなと思います」

 一つの壁を乗り越えた。だが、1試合の活躍で満足するつもりはない。代えのきかない主軸選手となるために、鎌田はこれからもさらなる成長を目指していく。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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