長谷部誠が「自分の力のなさを感じる」点とは? 正念場の2020年、待ち受ける“競争”

苦しい状況に置かれているフランクフルト【写真:Getty Images】
苦しい状況に置かれているフランクフルト【写真:Getty Images】

ブンデス後半戦に向け、ヒュッター監督が4バック導入を検討か

「あの時も連戦の最後で、今と本当に同じ状況というか……、やってても走れないというのがあった。(あの時は)そのままシーズンが終わったので、それから次の新しいシーズンに向けて気持ちを切り替えてという感じでした。今回、休み自体は短いんですけど、ここでもう一度頭と体をフレッシュにして、後半戦をしっかりと戦わないと」

 実際に今季のブンデスリーガで、来季のEL出場権を狙うどころか、残留争いに巻き込まれているのが現時点におけるフランクフルトの立ち位置だ。後半戦にしても、厳しい戦いが待っていることだろう。そんな時でも、いや、そうした時だからこそ、長谷部は前を向こうとする。

「ヨーロッパリーグでベスト4に行ったりとか、だいぶ昔の話に感じますけど、もちろんいい時があれば……最後、大失速して終わってしまったので、年の最後としてイメージはあまり良くない。自分のサッカー人生で、今までこういう山あり谷ありというのは感じてきた。今、痛感するのはチームがいい時は自分もいいんですよね。逆にチームが良くない時にチームを良くさせるというか、良い方向に持っていくプレーができていないことに自分の力のなさを感じる。

 だから、チームの調子に自分のパフォーマンスが左右されているなと感じているので、そこをもう少し個の力の部分で、僕はDFなので失点のところとか、チームが苦しい時に最後の最後で防ぐような、そういうプレーをもっともっと自分の中で求めていきたいなと思います」

 苦しい時だからこそ、もっと成長できるチャンスだと捉えている。そうした姿勢で、これまでも戦い抜いてきた。

 アディ・ヒュッター監督は、今冬のプレシーズンで4バック導入にも動き出していると報じられている。3バック、4バックともに戦術を浸透させることができれば、相手やチームの状態によって対応できる戦術的な幅は増えるはずだ。

 一方で、4バックが主戦システムになると、長谷部の立ち位置はこれまでのように安泰というわけにはいかないだろう。どの試合でもスタメン起用というわけにはならない。だからといって、それに不平不満を漏らしたりはしない。ポジション争いは望むところ。「4バックにおけるセンターバックか、ボランチの位置でポジション争いをしていく」と長谷部は地元紙に意気込みを語っていたが、起用された試合で信頼に足るパフォーマンスを披露し続けていくことが何よりの答えになるのだ。36歳の誕生日を間近に控えた長谷部の向上心は、いまだに衰えることがない。

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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