長谷部誠が「自分の力のなさを感じる」点とは? 正念場の2020年、待ち受ける“競争”
長谷部誠が「自分の力のなさを感じる」点とは? 正念場の2020年、待ち受ける“競争”
2019年のフランクフルトを振り返ると、ものすごく良い時期とものすごく悪い時期との振れ幅が大きい年だったと言えるかもしれない。
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ハイライトは昨季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)での準決勝進出だろう。ファンの熱狂はすさまじく、ホームは当然のように毎試合満員となり、アウェーにも1万人以上のファンが乗り込んでいく。どんな試合でも熱い声援に支えられたチームは、情熱の塊となり、強豪相手に一歩も引かずに怒涛の勢いで勝ち進んでいった。
準決勝でもチェルシー相手に互角の戦いに持ち込んだが、あと一歩のところで及ばずに涙を呑むことになった。一方、ブンデスリーガでは終盤、過密日程に苦しんで失速。最終節では他会場でマインツがEL出場権を争っていたホッフェンハイムを下してくれたおかげで、ぎりぎりで予選からの出場権を手にした。
夢の続きを見ようと、今季もフランクフルトは最初から全力で駆け抜けようとしていた。それが自分たちのサッカーだ、と。ただ、どれだけそう誓っても、疲れが溜まり続けると思い通りに動けなくなる。2019年最終戦となった12月22日のパーダーボルン戦(1-2)後に、元日本代表MF長谷部誠は自分たちの状況を次のように語っていた。
「(今季の)前半戦だけで公式戦31試合を戦っていて、みんな疲れが、体も頭も疲れが溜まっていて。そのなかで連戦なので練習もろくにできず、ミーティングで卓上の戦術なんかもやれることはやれるんだけど、それとグラウンドでやることは違う。こういう連戦のなかで、こういう悪い流れに入った時の立て直す難しさというのは、今回すごく痛感しましたね」
EL予選が7月下旬から始まった影響で、他のどのクラブよりも消化しなければいけない試合が多いという現実。長谷部の言葉通り、ずっとその厳しさと向き合い続けたのが今季ここまでのフランクフルトだった。11月2日、バイエルンに5-1と大勝したのを最後にリーグ戦では勝利がない。悪い流れを断ち切ることができないまま、ズルズルと順位を下げ続け、最下位パーダーボルンにも1-2で敗れてしまった。
昨季終盤は不振から抜け出せないままシーズンを終えたが、今季はまだ半分が終わったところ。前シーズンの経験は、選手に何をもたらすのだろうか。長谷部は次のように語る。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。