日本代表「香港戦出場13人」を金田喜稔が5段階評価 “格下”相手に「期待外れ」の選手は?

MF田中碧にはゴールへの関与が求められる【写真:Getty Images】
MF田中碧にはゴールへの関与が求められる【写真:Getty Images】

“無難にプレー”していた田中碧だが…「もっとゴールに向かってほしかった」

■仲川輝人(横浜FM)=★★★

 今季のJリーグMVPを受賞し、大きな期待を集めるなかで初戦の中国戦では起用されず、満を持してのA代表デビューとなったが、率直に言って少し期待外れだった。横浜FMでは3トップの右ウイングとして躍動したなか、香港戦で仲川に与えられたのは3-4-2-1の2シャドー。格下の相手を押し込むなか、両ワイドは主にウイングバックが上下動するため、シャドーはピッチ中央寄りでの仕事が多くなっていた。仲川の本来のポジションではないものの、チームにコンビネーションが確立されていれば、周囲と連動しながら自身の持ち味を発揮できたかもしれない。しかしまだパスの出し手との呼吸が合っておらず、せっかく足もとにボールが収まっても決定的なシーンに持ち込むことはできなかった。アタッカーとして、もちろん周囲との連係は重要だが、1対1の局面で何かしらインパクトを残すプレーをしなければ、この先のA代表に生き残ることはできないだろう。

<MF>
■菅 大輝(札幌)=★★★★

 クラブでも主戦場の左ウイングバックで、序盤から積極的にプレー。なんと言っても前半8分、こぼれ球に反応して左足ボレーで豪快に叩き込んだ先制点は見事だった。その後も香港が5-4-1のシステムで中央を固めるなか、フリーで何度も高い位置へと進出。余裕があったからこそ、クロスを上げる時にいろいろと工夫をしていたが、後半はやや停滞した。

■相馬勇紀(鹿島)=★★★★

 相手のプレスがあまりかからない状況のなか、仲川が中央に絞って空いた前方のスペースを何度も突いた。菅と同様、クロスの球種は変化に富んでいたが、周囲との連係不足からか思うように合わず。後半の日本は攻撃が中だるみの状況となっていたため、足もとでパスをつなぐだけではなく、時には強引なカットインやミドルシュートを見せるなど、変化をもたらしてほしかった。

■大島僚太(川崎)=★★★★

 東京五輪世代が中心となった若いチームの中で、中盤で落ち着きを与える存在となっていた。急造メンバーで、まだコンビネーションが十分に確立されていないなかでも、大島の足もとにボールが入った瞬間に両翼の菅と相馬、最前線の小川らが動き出し、それを見逃さずに高精度パスを供給していた。スルーパスやサイドチェンジのパス1本で、リズムを作れる貴重な存在。だからこそ終盤、5-0となって停滞した時間帯に自らが持ち運んでミドルシュートを放つなど、貪欲にゴールを目指す姿勢を見せてほしかった。

■田中 碧(川崎/→後半22分OUT)=★★★

 攻撃力を備えたボランチとして個人的にも期待している選手。川崎で同僚の大島とのコンビは、A代表デビュー戦とはいえ田中碧にとってはプレーしやすい環境だったはず。だからこそ相手との実力差を考えても、もっとできたのではないかという印象だ。守備もつなぎも無難にこなしていたが、もう少し高い位置で攻撃に関与し、自信を持っているはずのミドルシュートを含めて積極的にゴールへ向かってほしかった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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