“全国仕様”の新戦術とPK戦対策 香芝の周到な準備が選手権初勝利を導く

選手権を見据えた現実的なスタイル変更

 苦戦に見えた展開も、自分たちの実力を受け入れてのものだった。31日の第94回全国高校サッカー選手権1回戦で、香芝高校(奈良)は高校サッカーの名門である藤枝東(静岡)と対戦した。序盤から藤枝東がボール保持率を高めて攻撃する展開に対し、香芝は最終ラインを5バックにしてゴール前を固める守備で対抗した。

 香芝の米原勝監督には、現実的な計算があった。

「県予選とはガラリと戦い方を変えています。全国の常連の高校に対し、個々の力では勝てません。大会前に5試合ほど全国に出場するチームと練習試合をしたのですが、そこで痛感しました。最初から耐える展開を予想し、そういう準備をしてきました」

 その答えが、守備時には5人が最終ラインに並び、中盤には4人が並んで耐えるサッカー。1トップを残し、カウンターに活路を見出す戦術として表れた。

「藤枝東は静岡県を無失点で勝ち上がってきたチームです。そこに無理に人数をかけて攻めたとしても難しい。自陣に相手を引きこんで、そこからカウンターでスペースを狙う攻撃を仕掛けるというのが、この全国大会で決断した戦術です。5バックという伝え方をしたら、子どもたちは全く攻めなくなってしまうので、3-4-3だけど守備の時は両サイドが下がるんだよという伝え方をしました」

 実際に、後半にはそのカウンター攻撃で数回ゴール前まで進出することができた。もちろん、その中で仕留められれば最高の展開だったが、ゴールを奪うには至らずに0-0のままPK戦へもつれ込んだ。

 

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