ドイツでも際立つ長谷部誠の“インテリジェンス” 35歳が今季掲げる「こだわり」とは?
レバークーゼン戦で開幕戦以来の無失点勝利 最終ラインから巧みなゲームメイクを披露
フランクフルトの元日本代表MF長谷部誠は、現地時間18日に行われたブンデスリーガ第8節レバークーゼン戦にフル出場し、3-0とリーグ戦ではじつに開幕戦以来となる無失点勝利に貢献した。
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
「ここ最近、ゼロで抑えられるゲームが全然なかったので、この失点ゼロにこだわってやっていこうという新たなところを中断中に話し合ったので、一発目にね、こうやってゼロで抑えられたのは良かったです」
代表ウィークで中断する直前のブレーメン戦(2-2)では、長谷部自身が終了間際にPKを与えてしまい、最後のところで勝ち点2を失っていただけに、この日の勝利の持つ価値は非常に大きい。
この試合で長谷部は、攻守にカギとなるプレーを見せていた。最終ラインでいつも通り鋭い読みで相手の攻撃を跳ね返していたのもそうだが、それ以上にゲームメイクの多彩さが際立っていた点を取り上げてみたい。
前半フランクフルトがボールを持つと、相手のアルゼンチン代表FWルーカス・アラリオにマンマーク気味にチェックに来られる場面が多かった。レバークーゼンサイドからすると、攻撃の起点である長谷部に自由にプレーをさせずに、上手いこと自分たちのプレスにはめ込んでいこうというプランだったはずだ。
だが長谷部は、近くにボランチのMFセバスティアン・ローデやMFジェルソン・フェルナンデスを寄らせると、そこを使ってワンツーパスなどで相手の守備を外していく。さらに無理につなごうとばかりせず、意図的にシンプルにクリアしたり、前線にロングボールを当てていたことを試合後に明かした。
「今日に関しては、相手が結構前から自分のところにもすぐにプレッシャーをかけてきていたので、つなぎすぎるとそこでミスを犯してショートカウンターを食らってしまう。(高い位置からの守備が)やっぱり相手の特徴でもあるし、その分(相手の)後ろが数的同数とかになっていたんで、一本、裏を狙っていた。1点目なんかもそうなんですけど、そういうシーンが結構作れるかなと思っていた」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。