久保建英は「マジョルカで愛されている」 スペイン記者証言も…立ちはだかる“二つの壁”

スペインのラジオ局「カデナ・セール」のアルベルト・エルナンド記者【写真:高橋智行】
スペインのラジオ局「カデナ・セール」のアルベルト・エルナンド記者【写真:高橋智行】

行く手を阻む代表招集による疲労蓄積と、指揮官の“子どもたち”による結束

 この試合を見る限り、監督更迭の報道まで出ていたエスパニョール(※試合後にダビド・ガジェゴ監督が解任され、パブロ・マチン氏が就任)の出来が悪かったのは間違いないが、スタメンで戦った “ビセンテ・モレノの子どもたち”による勝利だったのは確かで、久保はその流れのなかに組み込まれていなかったと言っていいだろう。

 スペイン紙「マルカ」と「AS」は、この日の久保の評価はともに1点(最高3点)となった。またマジョルカの地元紙「ウルティマ・オラ」も「ラゴ・ジュニオールに代わってピッチに入った」と触れるに止まり、プレーについては何も言及せずに1点(最高3点)を付けている。

 試合後、スペインのラジオ局「カデナ・セール」のアルベルト・エルナンド記者に話を訊くと、久保について「言葉数の少ないとてもシャイな青年だけど、すでに代表で示しているように、自身の才能を解放する能力を備えており、ピッチ外よりもピッチ内で話をする選手だよ」とその印象を語った。

 この日の試合については「今日は低迷した状態でやってきたエスパニョール相手に凡庸な30分間だったが、観衆から大きな注目を集めていることを再び証明した。ここ2試合スタメンできていたが、今日は30分のみの出場となった。なぜなら、ダニ・ロドリゲスがスタメン復帰したからね。でも彼は素晴らしい才能を備えており、マジョルカのファンに本当にとても愛されているよ」と言及している。

 久保は2試合連続スタメン出場で監督の信頼を勝ち取ったかに見えたが、エスパニョール戦では“ビセンテ・モレノの子どもたち”の間に割って入るのが、非常に難しいと改めて感じさせるものとなった。

 マジョルカが19日にソン・モイシュで開催される次節で対戦するのは、久保の保有元でリーグ首位に立つ強豪レアル。今シーズンよりレアルが、期限付き移籍選手に対する出場禁止条項を撤廃しているため、久保もレアル戦に出場できることになっている。

 しかし久保は、日本代表招集によりハードな長距離移動を伴う2試合を戦うため疲労が懸念されること、その一方で代表戦に参加しないチームメートたちがエスパニョール戦での勝利を弾みにさらに結束を強めることが予想されるため、レアル戦で久保にチャンスが与えられる可能性は非常に低いと思われる。先月同様、久保に再び代表ウィークという大きな壁が立ちはだかることになる。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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