「もういないけれど…」 アトレティコに息づく英雄トーレス、サポーターが示し続ける愛情
【現地発】アトレティコの応援に駆け付けたサポーターの中で際立ったトーレスのユニフォーム
元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスは今年8月にサガン鳥栖で現役生活にピリオドを打った。トーレスにとってキャリアの象徴とも言えるクラブは無論、プロデビューを果たしたアトレティコ・マドリードだろう。退団してから1年以上が経っているものの、サポーターのトーレスに対する愛情は一切色褪せてはいないようだ。
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アトレティコは現地時間9月28日、リーガ・エスパニョーラ第7節でレアル・マドリードと対戦し、ホームで0-0と引き分けた。“マドリード・ダービー”はスコアレスの痛み分けとなったが、前節のマジョルカ戦では2-0の快勝を収めている。敵地イベロスター・エスタデイまで数多くのアトレティコサポーターたちが応援に駆けつけていたが、際立っていたのは「F.TORRES」と記されたユニフォーム姿だった。
1995年からアトレティコの下部組織で育ったトーレスは、2001年にプロデビューを果たし、19歳の若さでキャプテンを任せられるなど、クラブの顔として存在感を高め、“神の子”の愛称でサポーターから絶大な人気を誇っていた。07年にリバプールへと移籍したものの、多くのビッグクラブを経て、16年にアトレティコへと帰還。昨夏に退団する際は、盛大なセレモニーで送り出されていた。現在、退団からすでに1年以上の月日が経過している。
試合前、スタジアム前で待機しているアトレティコサポーターの女性に声を掛けた。背番号「9」時代の年季の入ったユニフォームを着用していたが、トーレスについて尋ねると、「彼がいたからこのクラブのサポーターになったの。もう、彼はもういないけれど、試合に行くときは今でも彼のユニフォームを着ていくようにしているわ」と毎試合トーレスのユニフォームに袖を通している愛着ぶりを強調していた。
また、現地までアトレティコの応援に訪れたサポーター一家も全員がトーレスのユニフォームを着ており、幼い少女に「トーレスが好きなの?」と聞いてみると、「うん、好き」と笑顔で答えてくれた。母親は「今でもトーレスのシャツを着ることは、サポーターにとって全然珍しいことではないわ。彼は愛された存在だから」と語り、「ここで引退してほしかったけど、彼の決めたことだから」と鳥栖への移籍を尊重する姿勢も見せていた。
現役を引退したトーレスが投稿した最新の公式インスタグラムはマドリードから投稿されたものだったため、現在はスペインに帰国している模様だが、クラブを去ってもなお、トーレスは依然としてアトレティコの中で息づいていた。
(FOOTBALL ZONE編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)