ドルトムントサポーターはなぜ世界最高なのか? 8万人が生み出す“異次元”の実像

ジグナル・イドゥナ・パルクの南スタンドには、名物の“黄色い壁”が現れる【写真:Getty Images】
ジグナル・イドゥナ・パルクの南スタンドには、名物の“黄色い壁”が現れる【写真:Getty Images】

【現地発】バルセロナをも呑み込む迫力 スタジアムを黄色に染めるサポーターの存在感

 ドルトムントは現地時間17日、「DAZN」が全試合を独占放送するUEFAチャンピオンズリーグ(CL)開幕節でバルセロナと対戦し、ホームで0-0と引き分けた。結果はドローとなったものの、試合内容で言えば完全にドルトムントに軍配が上がっていた。ドルトムントがベストパフォーマンスを発揮したというよりは、バルセロナが本領を発揮できなかった印象が強い。その背景には、スタジアムを埋め尽くす8万人のサポーターの存在があった。

 今季の“死のグループ”に位置付けられるグループFで実現した今節屈指のビッグカードだが、フラットに見れば、戦力的にも完成度においてもバルセロナが上回っていることは間違いないだろう。負傷明けのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシはベンチスタートとなったものの、世界最高のポゼッションサッカーを披露するバルセロナにドルトムントが挑むという構図は、たとえホームでも変わらないはずだった。

 しかし、蓋を開けてみれば試合を牛耳ったのはドルトムントだった。後半14分にメッシが投入されてからは、守備意識を強めたドルトムントがラインを下げたことでスコアの動く試合にこそならなかったが、それまでは文字どおりバルセロナを圧倒する猛攻を展開。バルセロナは真骨頂のパスワークがうまく機能せず、ボールロストを多発し、それを突いたドルトムントが素早いカウンターで決定機を生み出し続けていた。

 バルセロナは単純に不調だったのか?それも間違いではないだろう。それでも、現地観戦をしていて感じたのは、8万人の超満員でスタジアムを黄色に染めたドルトムントサポーターの圧力が、並外れたものであったということだ。世界最大規模の収容人数を誇るジグナル・イドゥナ・パルクだが、アウェー席はほんの一角しか設けられていない。360度のうち、およそ350度は黄色に覆い尽くされているのだ。ドルトムントのサポーターは90分間を通して間髪入れずにチャントや歓声を送り続けている。それが8万人の規模なのだから、言葉では説明できないほどの威圧感だ。

 バルセロナがボールを保持した際には、絶えず耳をつんざくような大ブーイングを送っていた。世界一足元のうまいクラブが、らしくないパスミスを連発していた要因の一つになっていたことも間違いない。バルセロナの選手たちはコミュニケーションを図るも、ブーイングで聞こえないのか、耳に手を置くジェスチャーが至るところで発生。ウルグアイ代表FWルイス・スアレスがスタンドを見回し、苛立つように首を振る素振りも印象的だった。

 ジグナル・イドゥナ・パルクの南スタンドには、名物の“黄色い壁”が現れる。スタジアムの構造上、スタンドが急斜面になっていることから、ゴール裏に集う熱狂的なサポーターが黄色い壁を形成するのだ。そこから地響きのような歓声が送られ、選手たちの背中を押す。後半10分に得たPKを主将のドイツ代表MFマルコ・ロイスが外してしまった瞬間も、落胆のため息などは一切聞こえず、あたかもゴールが決まったかのような力強いコールが終始注がれていた。

 ドルトムントは“世界最高のスタジアム”と “世界最高のサポーター”を擁しているとよく耳にするが、その本当の意味がようやく分かった。スタジアムで目にした光景はまさしく“異次元”という表現がぴったり。あのバルセロナでさえも飲み込んでしまうような迫力と、ホームチームに送られる力強くも温かい歓声が、ジグナル・イドゥナ・パルクには根付いている。

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