森保ジャパンの功罪 成功遂げた選手にロマンを感じるも…指揮官の対応力に一抹の不安

選手個々の意見が異なる場合、チームに一つの方向性を示すのが指揮官の仕事だが…

 ウルグアイ戦では2度リードしながらも追いつかれ、終盤には相手の圧力を受けてクリア一辺倒の時間帯が続き、修正を施せないまま終えた。チリ戦から一転、両サイドハーフの中島と三好は献身的な守備を見せたなかで疲労が蓄積し、後半途中から後手に回る場面が増加。しかし、指揮官が真っ先に代えたのはトップ下のMF安部裕葵(鹿島アントラーズ)だった。後半38分に三好に代えて久保、同42分にDF岩田智輝(大分)に代えてDF立田悠悟(清水エスパルス)を連続投入するも、すでにチーム全体が疲弊しており、状況が好転しないまま試合を終えている。

 エクアドル戦では、相手の前線からのプレッシングを受けてGK川島にパスを戻す場面が増加。後方からつなぐ意識は見えたが、そのパスを奪われて何度もピンチを招いた。さらにGKからロングボールを蹴っても相手に拾われ、再び攻撃に晒される悪循環に陥り、その状況でチームに方向性を示せなかったのは指揮官に一因があるだろう。また、グループリーグ突破にはゴールが必要な状況のなか、同じポジションでの選手交代を続け、後半43分の前田投入とともに2トップへ移行。短い時間のなかでチャンスを作ったが、終了間際の決断は遅すぎた感も否めない。

 大会を通じて言えるのは、チームの方向性を示せない時間帯が見られた点だ。当然、試合では選手個々の状況判断も求められる。しかし、それぞれの意見が異なる場合もあり、試合中にそれをすり合わせるのは困難だ。そうした時、チームに一つの方向性を示すのが指揮官の仕事だが、その点において一抹の不安が残った。

 世界を体感し、短期間で飛躍を遂げた若い選手たちの未来にロマンが感じられたなか、指揮官にとっても貴重な経験を積んだ大会になったと言えそうだ。

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