日本代表「チリ戦出場14人」を金田喜稔が採点 “急造チーム”で輝いた選手、唯一の最低点は?

柴崎のパスセンスが光った【写真:Copa America】
柴崎のパスセンスが光った【写真:Copa America】

柴崎のセンスが光った決定的なパス 上田が決めていれば「スーパーアシスト」

■久保建英(FC東京→レアル・マドリード)=★★★★

 序盤に見せたドリブル突破からの際どいアーリークロス、後半20分のドリブル突破からシュートまで持ち込んだシーンなど、ボールを受けた時にスペースと時間があれば、強豪チリ相手にも自らが生きるスキル、周りを生かすセンスを見せてくれた。もちろん、久保本人はシュートを決められず相当悔しかっただろう。あの角度から侵入し、左足でゴール左上隅を射抜くシュートには自信を持っているはずで、それが予想以上に左へと逸れてしまった。ただA代表2試合目でフル出場を果たし、改めて底知れぬポテンシャルを発揮。個人的にはコンビネーションが確立されていない今のチームだからこそ、360度相手に囲まれることのない右サイドで起用し、久保の技術をより引き出してほしかった。

■前田大然(松本/→後半21分OUT)=★★★

 チリDFメデルをぶっちぎるシーンなど、そのスピードが絶対的な魅力であることを証明した。ただ、そのスピードを生かすための受けるタイミングや走るコース、与えられたポジションを考えた時に、彼の良さが右サイドで生きるとは思えない。チリ対策としての起用だったのだろうが、彼の能力を考えたら中央でこそ生きる。コンビネーションが確立されていないチームでも、カウンターに近い形で前線の選手が相手の背後を狙って走った時には、パスが出てくるもの。それを考えれば、この試合の日本は久保を右サイドに置き、前田を中央に置いて上田と縦関係の2トップを組ませたほうが良かったように感じる。

■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★★★

 チームの共通理解が徹底されていなかったなかで、決定的なシーンを作り出した。前半44分の決定機は右サイドから流れてきたこぼれ球に対し、チリ守備陣の一瞬の隙を見逃さず、前線の背後2人目のポジションを取っていた上田へワンタッチパスを通すという柴崎のセンスが光った。後半12分にも自らのボール奪取からファーサイドの上田へピンポイントクロス。いずれも上田が決めていればスーパーアシストとなっていた。4失点を喫したことを考えれば、ボランチとして守備面での課題は当然残している。だがチームとしての完成度が低いなかで、攻撃時にボールを散らし起点となった働きは評価すべきだ。

■中山雄太(PECズヴォレ)=★★

 ゲームを通して消えている時間が多かった。所属クラブで今季なかなか試合に出られなかったことによるコンディション作りの難しさもあったのだろうが、中山はこれまで年代別代表でもチームリーダーを務めてきた選手。A代表デビュー戦だったとはいえ、もう少しビルドアップや守備面で求心力を発揮してほしかった。前半41分のCKでの失点シーンでは、マークについていたチリMFプルガルに対して体を張れず先にジャンプされて叩き込まれている。全体的に自分のプレーに対して自信を持てなくなっている印象で、ボランチとしてチームに変化を与える役割を果たせなかった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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