日本代表「チリ戦出場14人」を金田喜稔が採点 “急造チーム”で輝いた選手、唯一の最低点は?

ビルドアップ時の難しさがあった両SB 「彼らだけの責任とは言いきれない」

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■杉岡大暉(湘南ベルマーレ)=★★★

 4失点したとはいえ、球際での守備能力の高さは見せた。一方で攻撃面での関与は、原とともに両サイドバックはほとんど貢献できておらず不満の残る内容だったが、彼ら個人だけの責任とも言いきれない。日本はビルドアップの段階で、中山と柴崎のボランチが良い状態で前を向けなかった。それはチリの攻撃から守備への切り替えが非常に早く、コースを切るだけではなく体を寄せてきたから。その時に中山と柴崎の2人の関係でパス交換を交えてキープできれば、その間に杉岡も原もポジションをもう少し上げることができただろう。だが、そういう場面はほとんどなく、相手に追い込まれた日本の中盤が苦しくなり、両サイドバックにボールを預けるシーンが目立っていた。彼らは前向きに迫ってくるチリのディフェンスに対し、苦し紛れにドリブルをして奪われたり、相手に読まれやすいパスを選択したり、追い込まれたなかでのプレーが多かった。もちろん、彼らもそうした苦しい状況を打開できる個人能力をつけなくてはいけないが、彼らがもっとプレーしやすい環境を作る力が、この日の日本にはなかった。

■冨安健洋(シント=トロイデン)=★★★

 後半9分にチリFWバルガスに決められた2失点目のシーンでは、シュートが自らの体に当たってゴールが決まった。4失点はセンターバックとして屈辱的だが、彼自身のパフォーマンスが特に悪かったというわけでもない。チームの組織としての問題。急造の最終ラインだったことで、冨安にも20歳とはいえ、もう少し統率という部分でリーダーシップを発揮してもらいたかった。

■植田直通(セルクル・ブルージュ)=★★★

 空中戦で持ち前の高さを生かすなど、久しぶりの代表戦となったなかで存在感は示した。特に前半はCKから1失点するまで、基本的に崩されたシーンはなく、クロスに対してもきちんとマークできていた。ただ前半から左サイド中島の背後のスペースをチリに狙われるなどしたなかで、どうやって組織として守っていくのかなど、最終ラインのリーダーとしてチームを動かし修正していきたかった。

■原 輝綺(サガン鳥栖)=★★★

 アグレッシブにプレーしようとしていたと思う。この試合におけるサイドバックの難しさは、杉岡の寸評で述べたとおり。ただ原に関しては、後半37分にチリFWサンチェスに決められた3失点目の場面は、サイドバックとして絶対に防がなければいけない。左サイド深くまで崩され、MFアランギスのクロスに対し後方から走り込んだサンチェスにヘディングされたが、あのシーンではサンチェスに前に侵入されないポジションを取って防いでほしかった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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