ドイツ×アルジェリア戦・徹底解析  試合巧者のドイツが仕掛けた“ズレ”を生むポジションチェンジ

重要なミュラーの動き出し

 ドイツの攻撃で特に鍵を握っていたのがトーマス・ミュラーの動き出しだ。これまではトップの位置で起用されるとFWの仕事をしなければと、無理に相手を背負ったプレーばかりしてしまっていた。しかし、本来彼の持つ長所とはDFとの駆け引きから相手が嫌なスペースに流れたり、そこから裏を取る動きにある。今大会ではこの点が修正され、トップの位置で起用されても、背負わないでボールを引き出せるポジショニングを取ろうとする工夫が見られている。

 また、ミュラーは動きだけではなく、ボールをもらう態勢にも気を使っている。バックステップでサイドに流れ、そこからウェーブの動きでスペースに飛び出したり、斜め前に抜け出したりと、常にボールが見られる態勢を取りながらパスを要求している

 ドイツとしてはそんなミュラーを起点にメスト・エジルマリオ・ゲッツェの3人がポジションを頻繁に変えることで、相手守備陣が常にマークを受け渡さなければならない状況を作り出す狙いがあったと思われる。3人は常にDF間のスペースを狙い、相手が重なった時には裏に走り込むなどして揺さぶりをかける。前半途中からはミュラーがセンターの位置に残って相手守備の意識を引き付けたかと思ったら、サイドにふっと流れて起点を作るなど動き出しが良くなってきた。それでも横の展開だけでは相手守備をズラすことは難しい。そこで重要になるのが縦のポジションチェンジだ。

 

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