久保建英らのU-20W杯「選外」に疑問 不完全なA代表への招集は“日本の宝”に有益なのか

コパ・アメリカで味わう苦みが本当に“良薬”となるかは…

 極端に劣勢を強いられる可能性の高いコパ・アメリカで守備に奔走するのと、同年代の仲間としっかり準備を重ねてきたチームを牽引するのとで、どちらが彼らにとって有益なのか。未来を担う素材だからこそ、なおさらリーダーシップを発揮して勝ち抜いていく経験が貴重な足跡となるはずである。そう考えれば、劣勢の南米のほうが輝ける可能性を持つのは、GKの大迫だけだろう。

 逆にU-20W杯も、当然ハイレベルで来年の東京五輪を占う重要な試金石になる。ベストメンバーで臨んでも好成績が保証されるわけではないが、大会が間近に迫った時期に久保、安部の両輪を一気に外してしまう決断は理解に苦しむ。前回は堂安律(フローニンゲン)が欧州進出のきっかけをつかんだ大会で、年齢的にも久保と安部の2人は、いよいよ海を越えるタイミングが来ている。大局的には世界に長所をアピールして、より良い移籍へとつなげるほうが得策だ。またすでに国際的にも注目株の久保は、目立つからこそ南米の荒い洗礼も懸念される。

 3人を組み込み、東京五輪への第一歩を記したいという森保監督の思いは容易に推測がつく。しかしコパ・アメリカで味わう苦みが、本当に良薬となるかどうかは疑問だ。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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