「横の揺さぶり」と「エリア内への仕掛け」 香川らしさに見えたアジア攻略の鍵

縦一辺倒の攻撃には手詰まり感が見える

 敵陣右サイドのFKからの流れだったとはいえ、ペナルティエリアのすぐ外でボールを受けた日本代表MF香川真司(ドルトムント)が、迷うことなく1対1の勝負を仕掛けて左サイドを深々と破ったところに、あのゴールシーンの価値があった。

 8日に行われたワールドカップアジア2次予選のシリア戦、1-0で迎えた後半25分の岡崎慎司(レスター)の得点をアシストした香川のプレーには、日本のアジア攻略の鍵が隠されていた。FKキッカーの本田圭佑(ACミラン)が、中央にグラウンダーのパスを送り、このボールを受けた宇佐美貴史(G大阪)が素早く左サイドへ展開。大外でフリーになっていた香川が相手との間合いを見極め、瞬間的な体の動きで縦へ仕掛けてエリア内へと侵入した。この動きに引っ張られるように、中央のシリア守備陣のマークは混乱。最後はゴール前でフリーになった岡崎にパスを通し、得点は決まった。

 セットプレーから始まった攻撃だけに、相手の足が止まっていた部分は差し引いて考えるべきだが、ゴール前に人数をかけてくるアジア勢相手にはやはり、両サイドを幅広く使った展開は有効だ。1本のサイドチェンジパスで狙うのはもちろん、ショートパスを素早くつなぎながら逆サイドに揺さぶり、相手守備ラインの横幅を広げてエリア内にスペースを生み出す。

 3月の発足からこれまで、ゴールへの最短距離を意識するあまり、縦方向への速い展開や同サイドでつなぐ傾向が目立つハリルジャパンだが、主導権を握る時間帯が長いアジア勢相手には、一呼吸置きながら横に揺さぶり、サイドの幅を意識した攻撃を展開すべきだろう。

 

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