日本代表が露呈した「対応力、修正力」の未熟さ 最後まで現れなかった“救世主”

日本は無念のアジア杯準優勝に終わった【写真:田口有史】
日本は無念のアジア杯準優勝に終わった【写真:田口有史】

アジア杯決勝でカタールに1-3敗戦、5バックの相手を崩せず

 アジアカップ決勝が2月1日にUAEの首都アブダビのザイード・スポーツシティ・スタジアムで行われ、日本はカタールに1-3で敗れて5度目の戴冠を果たせなかった。2020年にワールドカップ(W杯)開催を控えるカタールは初めてアジアの頂点に立ち、3年後に地元で開催するW杯へ向け、弾みとなるアジア制覇と言えるだろう。

 日本は前半を終わって0-2のビハインド。昨夏のロシアW杯ベルギー戦での「ロストフの悲劇」の逆パターンを期待したファンも多かったのではないだろうか。しかしながら後半24分に南野拓実が今大会初ゴールで1点を返したものの、同38分に吉田麻也がペナルティーエリア内のハンドからPKを献上して1-3と再びリードを2点差に広げられ、その期待も淡く消えた。

 試合の趨勢は前半で決まった。イラン戦以外はすべて1点差の勝利と相手の猛攻に耐え、数少ない決定機をモノにして勝ち上がってきた森保ジャパン。しかしカタール戦は、試合序盤に守備の乱れから2点を献上。さらに攻撃も歯車がまったく噛み合わず、前半の決定機はゼロだった。

 最初の誤算はカタールのフォーメーションにあった。準決勝のUAE戦は4-2-3-1だったが、日本戦では守備を固めた5-4-1。このため「カタール戦に対して3バックと相手を想定内に入れながら準備をしてきたが、(5バックにより)選手が思いきってプレーできる準備をできなかった自分の責任かな」と森保一監督が振り返ったように、ゴール前に人数をかけて守るカタールに対し、日本はほとんど攻撃の形を作れなかった。
 
 相手が引いてブロックを作っているため、ボールこそ保持できた。しかし5バックの相手に苦戦した準々決勝のベトナム戦(1-0)と同様、森保ジャパンの代名詞と言える縦パスがまったく入らない。0-2になるとカタールはさらに守備的となり、日本のボール保持率は高まったものの、パスは足もとから足もとにつながるだけで、相手を崩すシーンは皆無だった。

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六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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