名将オリヴェイラが浦和にもたらした大団円 “魔法”に込められたACLへの熱き思い

(左から)MF武藤、オリヴェイラ監督、FW興梠【写真:Noriko NAGANO】
(左から)MF武藤、オリヴェイラ監督、FW興梠【写真:Noriko NAGANO】

サポーターのモチベーションもコントロール「あの意欲が限界を超えさせてくれた」

 鹿島アントラーズ時代に多くのタイトルを勝ち獲ってきた指揮官の目に、浦和はサッカー選手、あるいはチームとしての下支えになるメンタルとフィジカルの部分が落ちた状態に見えていた。世代別を含め、ほとんどの選手に日本代表の経験があるようなメンバーだけに、本来持っている力が低いわけもない。しかし、それを発揮できる状況にないことが問題だという結論に至っていた。

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 浦和にとってACLは重要な大会だが、今季は参加できていなかった。就任時点での成績からもリーグ戦での権利獲得は簡単ではなく、結果的には後半戦で追い上げるも5位で終了。この天皇杯を勝ち獲ることの優先順位が高かった。オリヴェイラ監督は、「浦和は2回ACLを優勝しているクラブ。来年、それを戦えない事態は避けたかった」と話す。それは、日本代表DF槙野智章の言葉からも裏付けられる。

「W杯から戻ってきて、少し休みがほしいということをリクエストしたら、監督から『天皇杯を絶対に取りたいんだ』というプレゼンを受けました。戻ってきてすぐに松本山雅戦があったんですけど、それに出てくれと」

 だからこそ、リーグ最終節が終わった後の連戦となった準決勝と決勝に向け、前日練習を公開にして浦和サポーターの練習場への来場を呼びかけた。準決勝前日が約350人、決勝前日が約800人が集結し、ピッチ内外で一体感を醸成してモチベーションも高めた。稀代のモチベーターは、赤い大サポーターまでも巻き込んで魔法にかけた。

 オリヴェイラ監督は「今日はサポーターが決定的な存在でした。あの意欲が限界を超えさせてくれました」と感謝の言葉を送った。メンタルとフィジカルに働きかけ、本来の力を発揮させたうえでプラスアルファを与える。優勝請負人ことオリヴェイラ監督自身3回目となった天皇杯のタイトルは、苦しんだ浦和のシーズンに大団円をもたらした。

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(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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