ジャパンスタイルをもう一度 遠藤が日本のストロングポイントを蘇生する

「左サイドの守備対策? 自分たちの形がつくれれば、相手は自然と下がると思う。前回は全体的にどこのエリアでもいい形でできなかった。相手を押しこめなかった。相手を押し込めさえすれば、裏を突かれる必要もない」

 決戦の地、ナタウのエスタジオ・ダス・ドゥナスで行われたギリシャ戦前日練習前、遠藤はいつもの淡々とした語り口に不退転の決意を込めた。ギリシャの右サイドバックのDFパシリストロシディスASローマ)は積極的な攻撃参加が特長。トロシディス対策を聞かれた遠藤はザックジャパンの最大の武器、香川真司(マンチェスターU)の傑出したテクニックと想像力、長友佑都(インテル)の圧倒的なスピードとパワーが織りなす左サイドの崩しを強調することで、相手の右サイドバッ クの突出を阻む考えだ。

 コートジボワール戦では相手の右サイドバック、オリエールのオーバーラップに香川が対処しきれないまま、ポジションをずるずると下げてしまった。攻撃面でもいつものスムーズな連係は見せられず、身体能力とスピードに優れるエレファンツ相手に有効なアタックを仕掛けられなかった。オリエールの2本のクロスから2点を奪われるなど、ザックジャパン最大の武器は封じられた。

 後半9分、MF長谷部誠と交代でピッチに立った遠藤もコートジボワールの繰り出す猛攻の波に飲まれた。期待されたパスでの左サイドからの崩しをほとんど演出できず、無力に逆転劇を見守るしかなかった。

「ただ、分析とかされていると思うんで、ある程度修正しないといけないのも事実。サイドバックやサイドハーフは積極的に前にいけばいい。ボランチが見るなり、センターバックがみるなり、しっかりリスクマネジメントしていかないといけない」

 コートジボワール代表のサブリラムシ監督は、ザックジャパンのストロングポイントである左サイドを徹底分析していた。フィジカルの鬼、ディディエドログバは後半17分に投入されると、機を見て右サイドへと流れ、ポストプレーで巧みに味方が攻め上がる時間をつくり出し、日本の左を消耗させた。だが、失敗は繰り返せない。相手の対策を上回る連係を繰り出すことが何よりも重要なのだ。

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