名門移籍を決断した次代のアズーリ イタリアの将来を背負う2人の若手DFが歩む道
同世代のルガーニとロマニョーリ
イタリアで将来有望な2人の若手DFが、この夏の移籍市場で名門クラブへの移籍を果たした。ユベントスに加入したダニエレ・ルガーニと、ミランに加入したアレッシオ・ロマニョーリ。1994年7月生まれのルガーニと95年1月生まれのロマニョーリは、日本風に言えば、同学年の間柄にある。ともに世代別のイタリア代表で活躍し、イタリア次世代の最終ラインを担う存在として期待されている。
そんな2人だが、移籍金という点では、かなりの違いが見えている。イタリアの移籍情報サイト「トゥットメルカートウェブ・コム」によれば、ルガーニ加入に対 してユベントスが前所属のエンポリに支払った金額は700万ユーロ(約10億円)ほどだが、ミランがロマニョーリ獲得に関してローマに支払った金額は、2500万ユーロ(約33億円)で最大500万ユーロ(約7億円)の成果ボーナスが発生するという。
しかしながら、この金額の差はイタリア国内での両選手の評価の差ということにはならない。そこには、ユベントスとミランの移籍市場における戦略が大きく関係している。
まず、ルガーニの例を見ていこう。エンポリのユースチームでプレーしていたルガーニに目を付けたユベントスは、自分たちのユースチームに対して期限付き移籍をさせるという形でルガーニを手元に置いた。そして、1年後の2013年夏に、プロ契約を交わす。そして、2シーズンの間エンポ リに期限付き移籍で“貸し出す”形でプレーをさせた。その間、ルガーニは定位置を確保して着々と力をつけ、昨年はセリエA全試合でフル出場。警告、退場も1度もないという20歳の選手にしては驚異的なシーズンを送った。
そして、晴れて今シーズンからユベントスのトップチームの一員としてプレーすることになる。そうしたやりとりの中で、総額700万ユーロほどがユベントスからエンポリの手に渡ったということになる。
一方のロマニョーリの場合は大きく異なる。ローマのユースチームで育ち、17歳にしてトップ昇格。途中出場などを中心に2年間を過ごすと、昨季はサンプドリアへ期限付き移籍。シニシャ・ミハイロビッチ監督の下でチームの躍進に貢献した。その期限付き移籍期間を終えて ローマに戻ったところで、その恩師が新監督に就任したミランが獲得のオファーを出した。交渉は紆余(うよ)曲折あったものの、結果的に移籍は成立。前述したような高額の移籍金をローマにもたらしつつ、ミランでのキャリアをスタートさせることになった。