なでしこ、岩渕弾でW杯4強進出決定

5試合連続で1点差勝利

 なでしこジャパンは27日(日本時間28日)、女子W杯カナダ大会準々決勝オーストラリア戦後半42分に途中出場のFW岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)の決勝弾で1-0勝利を飾った。2011年のドイツ大会に続く大会連覇に向けて、2大会連続の4強進出を決めた。

 日本の佐々木監督は決勝トーナメント初戦オランダ戦と同じメンバーで4-4-2システムでスタート。1次リーグではGK3人を含む登録全23選手を起用したが、トーナメントに入ると先発メンバーを固めてきた。肩脱臼の癒えた大型GK山根が先発復帰する可能性もあったが、オランダ戦で好セーブを見せながらも、後半アディショナルタイムに痛恨のミスから失点したGK海堀に信頼を貫いた。そして、10番の澤やジョーカーの岩渕をベンチに残す戦略に出た。

 一方、ブラジルを破って駒を進めてきたオーストラリアは4-3-3システムでスタート。中5日と日本よりも2日間余分の休養を手にしたオージー軍団は2人のメンバーを入れ替えてきた。ピッチ上は、ジャパンブルーの青空からの強い日差しと人工芝の照り返しで35度を超える高温。現地時間14時、まさに灼熱のエドモントン・コモンウェルススタジアムでキックオフされた。

 互いに相手の出方をうかがうような立ち上がりで、最初にゴールに迫ったのは日本だ。8分にMF川澄の縦パスに抜け出した大野がループシュートを狙ったが、クロスバーを越えた。一方でオーストラリアも、直後の11分にFWサイモンがスルーパスに抜け出したが、DF岩清水がピタリと身体を寄せてシュートを許さない。全体にボールポゼッションする日本と、カウンターを狙うオーストラリアという構図でゲームが進んだ。

 22分にも川澄とFW大野のINACコンビがゴールに迫った。大儀見のパスに右サイドを抜け出した川澄からグラウンダーのクロス。ニアで合わせた大野だが、シュートは枠の上へ外れた。33分にはキャプテンのMF宮間が強烈なミドルシュートを放つが、相手GKのセーブに合った。リズム良くボールを動かしてオーストラリアを守備に走らせた日本はボール支配率を6割以上と優位に進めたが、スコアを動かすことはできず。前半はスコアレスで折り返した。

 後半も立ち上がりからゲームをコントロールする日本だが、9分にあわやピンチの瞬間が訪れた。中盤でMF阪口がボールを失うと、一気のショートカウンターからFWカーのシュートを許した。しかしGK海堀が落ち着いてセーブし、事なきを得た。続く11分にはMFヴァン・エグモンドがロングシュートを放ったが、ボールはクロスバーを越えた。

 日本の決定機は14分、川澄とのコンビで右サイドを崩した有吉の速いクロスに宮間がトリッキーなヒールキックで合わせたが、ボールはわずかに枠の外。16分に大儀見が狙った左足ミドルもニアサイドに外れた。

 日本のパス回しの前に守備に追われたオーストラリアは、後半22分に体力の消耗が目立ったエースのFWデ・ヴァンナが交代で退いた。前日に佐々木監督が「相手だけではなく気候との戦いもある」と語った酷暑も味方につけながらゲームを展開。そして、日本は27分に大野に代えて切り札の岩渕を投入。決勝点を奪いに掛かった。

 そして、後半42分に待望の瞬間がやってきた。左CKのチャンスでニアサイドでDF熊谷が飛び込む。このこぼれ球にMF宇津木がゴール前に再びシュート性のボールを送る。そして、岩清水が足を伸ばし、最後は岩渕がゴールを破った。ついに先制点を手に入れると、佐々木監督は再び動く。後半45分には阪口の代わりに澤をついに投入した。

 昨年のアジアカップ決勝で1-0で下したアジアのライバルを総力戦で下し、歓喜の瞬間を迎えた。なでしこジャパンは今大会全5試合でいずれも1点差勝利。前回大会覇者は圧倒的な勝負強さを示している。

 日本の準決勝はこの日と同じエドモントンで7月1日(日本時間2日)に、開催国カナダとイングランドの準々決勝の勝者を相手に行われる。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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