「大誤算」「エース不在」からのW杯23人決定 城彰二が期待する“2段階選考”後の反発力

城氏は発表された23人のメンバーに対して言及した【写真:Getty Images】
城氏は発表された23人のメンバーに対して言及した【写真:Getty Images】

【98年W杯日本代表・城彰二の視点】経験重視のメンバー選考、W杯で勝つには「これしか選択肢がない」

 世間が求めているような“サプライズ”は確かになかった。だが、監督の立場として短期間でチームを仕上げてワールドカップ(W杯)本大会で勝ちにいくには、これしか選択肢がない――そんな言葉が真っ先に頭に浮かぶW杯メンバー23人の発表となった。

 西野監督も、ロシアW杯後も日本代表を率いることが決まっていれば若手を経験させる考えも出てくるだろうが、今はとにかく与えられた状況のなかで結果を求めるしかない。23人のうち11人が前回大会に出場、さらにそのうちの5人(本田、岡崎、長友、長谷部、川島)は3大会連続の選出。彼らの経験をベースに、なんとか勝てる方法を模索したいという監督の思いが滲み出ている。

 おそらく西野監督にとって、W杯メンバー発表前日に行われたガーナ戦の結果は、「大誤算」だったのではないだろうか。中盤である程度、自分たちの時間を作れた一方で、両サイドのスペースを簡単に使われるシーンが多く、簡単に崩されて2ゴールを許した。

 一方の攻撃も、あれだけチャンスを作って1点も決められないというのは、かなり厳しい。もちろん、就任からわずかな時間で連携が構築されておらず、システムもバヒド・ハリルホジッチ前監督の時とは異なる3-4-2-1に変えて臨んだという要因があったにしても、フィニッシュの部分でのミスは個々の問題。決定力不足は昔からの課題だが、あそこでゴールをこじ開けられるようなスター選手、「絶対的エースがいない」というのが、今の日本の現状として改めて浮き彫りになったように思う。

 そうしたなかでメディアやファンから大きな注目を集める二人、エース格でありながらハリルホジッチ前監督の下では立場が危うくなっていた本田、香川の二人は、経験値を買われてメンバー入りを果たした。

 本田は年齢的な問題もあって、一時期のキレはなく、スピードも落ちている。だが、彼の持っているボールキープ力、そして一発で戦況を変えられるFKというストロングポイントは、西野監督としてはチームに残しておきたい武器なのだろう。

 香川もまだまだコンディションは上げられるし、本調子とは言い難い。ただ近年の日本代表では怪我もあって、なかなかプレーできず、様々な形で世間からの風当たりも強くなっていた選手としては、ガーナ戦の後半45分間をプレーできたことは、一つのきっかけとなったはずだ。

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