伊藤達哉とハンブルガー“残留神話”を支えるもの 主将が送る「満足するな」の言葉

「イトウは1対1の場面で素晴らしいクオリティーを持っている。」とティッツ監督も称賛【写真:Getty Images】
「イトウは1対1の場面で素晴らしいクオリティーを持っている。」とティッツ監督も称賛【写真:Getty Images】

ハンブルガー監督「1対1の場面で素晴らしいクオリティーを持っている」

 ティッツ監督は、伊藤をできるだけ相手ゴール前の決定的なスペースでプレーさせたいらしい。

「イトウは1対1の場面で素晴らしいクオリティーを持っている。我々は彼をなるべく多く、ペナルティーエリア近くでプレーさせる必要がある」

 指揮官の言葉通り、伊藤はヴォルフスブルク戦で仕事を果たした。前半42分、MFルイス・ホルトビーのパスを受けて相手ペナルティーエリア内に侵入したところで倒されてPKを獲得。瞬時にトップスピードへ移った伊藤の突破に相手DFは反応できず、思わず足をかけてしまった格好だ。そのPKをFWボビー・ウッドが決めてハンブルガーが先制。その瞬間、伊藤は拳を握って青空に向かって大きく吠えた。

 そして前半アディショナルタイム。左サイドでボールを受けた伊藤は対面の相手を見据えて数センチ右方向へずらし、すぐさま右足でインスイングのクロスを送る。これに反応したホルトビーが頭で合わせて2点目。伊藤はこれがブンデスリーガでの初アシストとなった。

 結局ハンブルガーは後半に1点を返されるも、最後はFWルカ・ヴァルトシュミットがダメ押しの3点目を決めて勝利し、16位に転落したヴォルフスブルクとの勝ち点差を2とした。

 チームは残り2試合で16位に浮上して2部3位との入れ替え戦、もしくは勝ち点5差の15位フライブルクを逆転しての残留に向けて望みを残す結果を得た。しかし後半40分で途中交代した伊藤は、自らを戒めるようにこう話した。

「元々体力には自信があるので、90分間プレーしたい気持ちは強かったです。でも、今は内容じゃなく結果が大事ですから」

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島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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