“スーペル・ピッポ”カムバック 名門復活を託されたインザーギ監督がミランを開幕戦勝利に導く

現役時代を想起させる雄たけび

 “スーペル・ピッポ”がサンシーロに帰ってきた。ACミランのフィリッポ・インザーギ新監督は、トップチームの指揮官として公式戦デビューとなった、ラ ツィオ戦を3-1の勝利で見事に飾った。試合後のインタビューでは、奮闘した選手と、支えてくれたサポーターに対する感謝の気持ちを口にした。

「私はすごく幸せだが、称賛に値すべきは選手だと思う。選手がこの50日間の準備ですごく成長してくれたことに対して、そして、私がゴールを決めた時のように名前を呼んでくれたスタンドのサポーターに対してもうれしさで一杯だ」

 現役時代に刻んだ、欧州のカップ戦通算70得点は史上最多だ。ミランとイタリア代表で数えきれないほどのタイトルを手にし、「スーペル・ピッポ」と呼ばれた衝撃的な勝負強さを誇った。ティフォージ(イタリア語でサポーター)から深い愛情を注がれてきたストライカーは2012年に現役を引退。ミランの下部組織で指導者としてのキャリアをスタートさせた。

 トップチームの指揮はこれが初めてとなった痩身な美男子は、シックなダークスーツに身を包み、ベンチから努めて冷静に戦況を分析していた。だが、後半11分のMFムンタリが追加点を決めた瞬間は、現役時代の興奮がよみがえったという。

「2点目が入った時はわれを忘れたよ。スーツとネクタイ姿でフィールド内に飛び出してしまった。どうしようもなかったよ」

 インザーギは選手時代、オフサイドラインギリギリから飛び出して相手ゴールをおとしめてきた。そのたびに、雄たけびを上げながらコーナーに全力疾走した。その姿は翌日の新聞の一面を何度も飾ってきたが、この日もゴール直後、たけり叫びながらムンタリら選手たちと歓喜を分かち合った。やはり裏への飛び出しが代名詞でもあった、ストライカーの血は健在だったのだ。

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