【サッカー分析講座⑦】総走行距離よりも顕著な差が出やすいスプリントの距離 1試合のスピードの最速値は意外な選手が記録することも

トップスピードへのスイッチが入る瞬間とは

 

 総走行距離ではそのような状況が起こるが、「ダッシュ=スプリント」の距離はチームのサッカースタイル、選手の特徴、試合内容によって大きく異なる。海外の走行スピードに関するデータを見ると、スプリントは時速24km以上を指すのだが、そのスピードで走る距離の差は総走行距離とは異なり20%~30%も違うこともある。

 さらにマイボール時の距離、相手ボール時の距離に分けてみるとマイボール時のスプリントの距離の2チーム間の差は、時に2倍近く違うこともある。どうしてそういう現象が起きるのだろうか?

 それを理解するために、どういう時にトップスピードへのスイッチが入るのか考えてみよう。ディフェンシブサードからミドルサードでのパス回しの最中にいきなり誰かがトップスピードで走ることはあまりない。トップスピードにスイッチが入る一番分かりやすいケースはカウンターアタックの時だ。

 相手のボールを自陣中盤あたりで奪った後、相手の守備の組織が整備される前に素早く相手ゴール前にボールを運ぶ際に、前線の選手のスピードが一気にトップギアに入り、スプリントのスイッチが入る。あるいは相手最終ラインの裏に抜け出す2列目、また、チャンスと見たサイドバックの選手がオーバーラップする瞬間などだ。さらにサイドからのクロスボールに対してFWの選手や2列目、逆サイドの選手が点で合わせるためにゴール前に勢いよく飛び込む場合などもそうだ。

 これらのケースを見るといずれもゴール、あるいは決定的なチャンスを作る場面でスイッチが入ることが分かる。一方、まるで逆のケースでもスイッチが入る。つまりウンターアタックへの対応、ゴール前で遅れたマークの対応など、ボールを保持しているチームのゴールに向かうトップスピードに、守備側が対応する場合だ。

 

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