監督交代の舞台裏「全てを鑑みて」 17位低迷で決断した解任…水戸の社長が口にした「色々な後悔」

水戸が樹森監督の解任を発表した
J1の水戸ホーリーホックは10月26日、樹森大介監督の解任と森直樹フットボールダイレクター(FD)の新監督就任を発表した。リーグ戦第12節を終えて2勝3分7敗の17位。25日のFC東京戦で0-6の大敗を喫し、6連敗となったことを受けて監督交代に踏み切った。
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J1残留に向け、クラブが大きな決断を下した。本間幸司ゼネラルマネージャー(GM)は樹森監督の解任について「何としてもJ1残留を果たすため、残り26試合を戦い抜くにあたり、今回、監督交代を決断いたしました」と説明。「今回の決断について、皆様それぞれにさまざまな思いがあることと存じます」としたうえで、「クラブ一丸となってJ1残留に向けて戦ってまいります」と発信した。
開幕節の柏レイソル戦に敗れたものの、第2節のガンバ大阪戦で引き分けると、そこから2勝3分と勝ち点を積み重ね、順位も11位まで浮上した。第5節の鹿島アントラーズ戦では、背番号10を背負うキャプテンのFW渡邉新太が4ゴールを決める活躍を見せ、勝利を収めた。
しかし、第7節の川崎フロンターレ戦に0-1で敗れると、そこから黒星が続いた。直近のFC東京戦では6失点の大敗を喫し、樹森監督も「はっきり言ってこれが僕らの実力だと思っています。下を向いている時間はない」と力のない言葉で結果を受け止めていた。
「今は怪我人がが多いですが、やっぱり連戦が多いので、こういったなかでも戦える選手を増やしていかないといけないっていう思いで今は取り組んでいますし、僕らのチームは決して選手層が厚いわけではないので、こういう機会をチャンスだと思って1人でも表現できる選手、このJ1の舞台でも思い切ってできる選手を増やしていきたいなっていう思いです」
6連敗の期間中には、左サイドバックの主力だったDF大森渚生が鹿島へ移籍。さらにエースの渡邉をはじめ、DF河面旺成、MF鳥海芳樹、FW内野航太郎らが負傷で離脱し、戦力的にも厳しい状況に置かれていた。
26日に行われた囲み取材には、小島耕社長、森新監督、本間GMの3人が出席し、監督交代の経緯を説明した。小島社長は「順位で決めたわけではないです。総合的な中で昨日の負け方もあると思うんですけど、選手の表情とか、監督から出てくる言葉を含めて、全てを鑑みて私と本間GMで色々な議論をして。必要であれば森も含めて話をした」と説明。17位という順位や6連敗という結果だけでなく、選手の表情や監督の言葉なども踏まえた総合的な判断だったと明かした。
樹森前監督、森新監督、本間GMは1977年生まれの同級生。長年にわたって水戸を支えてきた3人がチームのために議論を重ねる姿を見てきただけに、小島社長にも複雑な思いがあった。「僕もなんとか成功させたいと思っていた。自分たちに(矢印を)向ければ、もう少し色々バックアップできたこともあったんじゃないかとか、もっと戦力をしっかりと取ってあげられたんじゃないかとか、色々な後悔があった」と胸中を吐露。FC東京戦後からホテルで朝まで葛藤を重ねた末の決断だったという。
本間GMは監督交代に至った経緯について「大きく言うと、百年構想リーグで最後に5連敗で終えたというところから始まるのかもしれません」と切り出した。今季については「開幕こそ負けましたけども、しっかり勝ち点を積み重ねることができて、順調にはいってると思っていた」と振り返ったものの、直近の6連敗が重くのしかかった。
なかでも、交代策を含めた試合中のマネジメントに疑問を抱いていた。先制しながらも逆転負けを喫した第9節の清水エスパルス戦について、本間GMは「勝ち点3、もしくは1は取れたゲームだった。その辺りの交代のタイミングというところでクエッションがつく部分もあった」と指摘。連敗を重ねていくなかで、「選手に躍動感を感じられず、ちょっとやりたいことがバラバラで、なかなかまとめきれていないという印象が強くなってきた」と明かした。
そして、「この連敗だけじゃなく、彼が就任してからずっとトータルとして考えた結果」と強調。直近の6連敗だけでなく、就任からの歩みを総合的に判断した末の監督交代だった。
樹森前監督からバトンを引き継いだ森新監督も、FDとしての責任を痛感していた。「今回、樹森監督をこう言う形にしてしまったということ、チームの成績に自分の中で責任を感じていますし、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と本音。FC東京戦後に小島社長と本間GMから監督就任を打診され、数時間悩んだ末に引き受ける決断を下した。
「こういう中で、次の人事も決まっていない中、選手も自分が集めた中で、あとは自分が辞めるからチームにあとはお願いしますというそう言う薄情的な部分も自分の中では納得いかなかったので、難しいミッションですけど、もう1回チームを立て直す自信もありますし、自分のやってきたことを信じてやればまだまだこのチームには可能性があると感じたので、ちょっと図々しいですけど、今回引き受けさせていただきました」
森新監督には、2024年に途中就任してチームをJ2残留に導いた経験がある。今回、チームの立て直しに向けて求めたのは「熱量」の部分。J1残留を果たすため、「勝ち点を貪欲に取りに行くチームづくり」に着手する。
「内容よりは勝ち点をしっかりハードワークしてとりにいくチームですね。そう言う部分でいうと、まだまだ綺麗にサッカーをするという部分が観ているとあったので、水戸らしく全員でボールを奪って全員でゴールを守るというところをもう一度見つめ直してやっていきたいと思います。残留がいちばんの目標ですけど、一つでも勝ち点をしっかりとって順位を上げていきたいと思っています」
そのために掲げたのが、「質」「強度」「スピード」の3本柱だ。樹森前監督が築き上げた戦いのベースを生かしながら、不足していた「細部にこだわるところ、メンタリティのところ」を補っていく。
「基準を明確にしたかったので基準の話をして、高い熱量を求めました。その中で、質、強度。今までなかったところでいうとスピード。最後に要求。ここを基準でやってくれということを伝えました。こういう難しいメンタリティの中でトレーニングしましたので、1番は熱量、次に要求。この2つを特に求めてトレーニングしました」
FDとして外から見ていたチームには「大人しい部分があった」という。それでも森新監督は「良さを出せばしっかりとまだまだ修正して軌道に乗れる」と立て直しに自信。「そういうところを出せるのが自分の指導者としてのストロングだと思います」と、自らの強みを生かして残留という難しいミッションに挑む。
「樹森監督がしっかりとチームとしてやるべきことを前進させてくれたと思う。細部にこだわるところ、メンタリティのところは足りなかったかなと思うので、そう言うところを選手に要求してチームに共有すれば必ず良くなりますし、ちょっと練習から大人しい部分があったので、そういうところから選手の良さを出せばしっかりとまだまだ修正して軌道に乗れると思ったので引き受けました」
今後は森新監督が務めてきたFDを本間GMが兼任する。厳しい状況に置かれながらも、森新監督は「物事に対して臆することなく向かっていくのが自分の信念です」と覚悟を示した。J1元年の水戸に訪れた大きな試練。残り26試合、クラブ一丸となって残留への道を切り開いていく。
(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)






















