浦和に戻って痛感「Jリーグは難しい」 35歳元日本代表の「価値観」を変えた選手たちの姿

ベールスホットの元日本代表MF原口元気【写真:徳原隆元】
ベールスホットの元日本代表MF原口元気【写真:徳原隆元】

ベールスホット原口元気が語った「大きな夢」

 今年35歳になった元日本代表MF原口元気が、ベルギー2部ベールスホットでの最初のシーズンを終えた。プレーオフ決勝で惜しくも敗れ1部昇格を逃したが、原口自身は主にボランチとして存在感のあるプレーを披露。在籍2年目となる来季での目標達成を視野に入れるなか、「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、今後のサッカー人生についての想いを明かした。(文=轡田哲朗/全3回の3回目)

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 昨年9月にベルギー2部ベールスホットに加入した元日本代表MF原口元気。キャリアの中で2度目の欧州移籍となったが、30代半ばのベテランとなり、一度Jリーグに戻ったからこそ環境への適性に個人差があることに気づいたのだという。そしてキャリアの締めくくりに向け、自身の「大きな夢」についても語った。

 2014年に浦和レッズからドイツへ移籍した原口は、ブンデスリーガの1部、2部の各クラブを渡り歩いて24年9月に浦和へ復帰した。そこでは2シーズンにまたがって約1年プレーしたものの、自身でも納得感の小さい結果に終わった。そしてベルギーへ移籍して出場した最初のゲームで、原口には不思議な感覚があったのだという。

「ベールスホットに来て3日目くらいで、いきなりスタメンで試合に出たんです。始まって5分、10分で懐かしさを感じて、『こっちの方が合うな』と思ったんですよね。(日本とヨーロッパの違いを)言語化するのはすごく難しいですけど、サッカーのフィーリングだったり、雰囲気だったり。少し大雑把だけど、パワーとスピードを持って前に行くサッカーがやっぱり自分には合うなと、1試合目の15分くらいまでに感じました。キャリアを比べても、ヨーロッパでのシーズンの方が長いです。どちらかというと、日本でプレーした時の方が、なんか違うなという感覚を持ちながらプレーしていました」

 近年の日本サッカー界では、若くして海外移籍する選手が増えた。Jリーグのクラブに所属せず、高校や大学から直接ヨーロッパに渡るケースも珍しくなくなってきたが、環境への適応はどの選手にとっても大きなテーマになる。原口は「自分に適したところでやることも大切です」と、自身が年齢と経験を重ねてきたことで気づいたものを語った。

「最初にドイツへ行った時は、ドイツやヨーロッパで成功できずに日本へ帰る選手を見て、『彼は失敗したな』と思っていました。でも、僕が日本で上手くいかなかったなと思った時に、やっぱり『合う、合わない』はあるんだなと気づきました。本当に日本代表に入りたい、ワールドカップ(W杯)に行きたいという目標があるなら、今はヨーロッパでやらなきゃいけない。そこにフォーカスしなきゃいけないのは間違いないです。でも、Jリーグで活躍している選手のことを、今は僕もリスペクトできるようになりました。僕からしたら、Jリーグは難しいリーグだと感じたんです」

ベールスホットの元日本代表MF原口元気【写真:徳原隆元】
ベールスホットの元日本代表MF原口元気【写真:徳原隆元】

選手としての集大成へ「ベールスホットで終わる感覚はある」

 そして原口は「たとえば遠藤渓太。(ドイツの)ウニオン・ベルリンで一緒でした」と、FC東京から柏レイソルへの移籍が発表されたアタッカーを例に挙げながら言葉を重ねた。

「(ウニオン・ベルリンから)ドイツ2部のブラウンシュヴァイクに行って、そこでも上手くいかずにFC東京に帰って、今は活躍できている。彼と話しても『僕は日本の方が合う。日本だと活躍できるんですよね』と言っていて、ヨーロッパに縛られるのではなく、自分に合う環境を選ぶことは、短いサッカー人生の中で大事なんだなと思いました。

 行ってみて『やっぱり違った。でも自分はここで輝けるんだ』というのでも、いいサッカーキャリアだと思います。そこへの価値観が変わりました。僕は以前、なぜそんなにすぐ諦めるんだろうと、いろいろな選手を見て思っていました。でも、自分自身がどこで幸せかということに対して、考え方が少し柔軟になったと思います」

 5月に35歳の誕生日を迎えた原口は、「まだできると思います」と話しつつも、選手としてのキャリアが終盤に入ってきたことは自認している。そのうえで、「ベルギーが面白いのは、やっぱりUEFAチャンピオンズリーグ(CL)があることです」と、キャリアの締めくくりに向けた思いを語っている。

「今は2部ですけど、ベルギー全体で20番目くらいのクラブにいるという状況です。あと20個くらい順位を上げたらチャンピオンズリーグがあるというのは、面白い環境にいるなと思います。僕自身、ほとんどのコンペティションに出てきて、チャンピオンズリーグだけ出られていません。大きな夢としては、数年後にチャンピオンズリーグに関われたら、一番何も思い残さずにキャリアを終えられると思います。

 もちろん、簡単ではないことも分かっています。少なくとも昇格させて、そこから1部にちゃんと定着できるクラブに持っていけたら、次のキャリアに向かえるかなという感覚があります。だから、ベールスホットで終わるような感覚はありますね」

 ベルギーでのキャリアは、指導者としてのセカンドキャリアを視野に入れたものだとしている原口にとって、残された時間は長くないだろう。それでも、集大成として欧州最高峰の舞台に立つことは、次のキャリアに向けても大きな経験と実績になるはず。その夢の実現に向け、原口はまだ走り続けていく。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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