「劇的弾」で歓喜→直後に「終了」 空中のボールに響いた不可解な笛…“神様”を唖然とさせた大誤審

W杯を彩る事件簿 今回は1978年アルゼンチン大会で起きた「タイミングが悪すぎる大誤審」に迫る
1930年の創設から、これまで数々のドラマやハプニングを生み出してきたFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度の祭典で起きた衝撃の出来事を振り返る「W杯事件簿」。今回は、1978年アルゼンチン大会でサッカー王国ブラジルを襲った、常識では考えられない前代未聞の「ゴール取り消し事件」を振り返る。
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舞台となったのは、グループリーグ初戦のブラジル対スウェーデン。優勝候補のブラジルだったが、スウェーデンの粘りに苦戦を強いられ、試合は1-1の同点のまま後半の終了間際を迎えていた。
そして迎えたラストプレー。ブラジルがCKを獲得し、ゴール前へクロスが放り込まれる。これに反応したのが、のちに“サッカーの神様”として世界に名を轟かせるMFジーコだった。打点の高いヘディングで合わせたボールは、鮮やかな軌道を描いてゴールネットを揺らす。
劇的な決勝弾。カナリア軍団が歓喜を爆発させようとしたその瞬間、ピッチには主審の笛が鳴り響いていた。
しかし、その笛はゴールを認定するものではなかった。なんと、主審はジーコのヘディングがネットを揺らした直後に「試合終了」を宣告したのだ。
猛抗議するブラジル陣営に対し、主審は「ジーコがシュート体勢に入る前、ボールが空中にある状態で試合終了のタイムアップの笛を吹いた」と主張。たしかにルール上、試合終了の権限は主審にあるとはいえ、コーナーキックからゴールへ向かってボールが飛んでいる最中に試合を終わらせるというのは、サッカーの常識から大きく逸脱した不可解極まりないジャッジだった。
当然、この理不尽な判定にジーコも唖然。試合はそのまま1-1の引き分けで終了した。後味の悪いスタートを切ったブラジルは、その後ジーコ自身が負傷の影響で出場機会に恵まれなかったこともあり、最終的に3位でフィニッシュ。王国にとっては不完全燃焼の大会となってしまった。
一人の主審の“空気が読めない笛”が招いたこの大騒動。のちに国際サッカー連盟(FIFA)が設立100周年を記念して制作したDVD『FIFA FEVER』の中で、この事件は「サッカーW杯における世界10大誤審」の第4位として収録された。FIFA自らが誤審として後世に語り継ぐことを認めた、W杯史に残る極めて稀なハプニングである。














