アンダー日本代表に見られる「脇の甘さ」 世界大会で安定した力発揮も…浮き彫りとなった”共通課題”

アンダー世代日本代表の進化と課題
U-23アジアカップ決勝、日本は中国と対戦する。これを書いている時点で結果はわからないが決勝進出したことで十分成功といえるだろう。日本は実質U-21代表だからだ。
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日本のアンダー世代代表は昨年行われたU-20ワールドカップ、U-17ワールドカップでベスト16。U-20はフランス、U-17はスペインに敗れたが、いずれもハイレベルの内容だった。アンダー世代の世界大会で安定した力を発揮できている要因は大きく2つある。
止める・蹴る・運ぶ技術が高い。さらに守備での相手に対する寄せが速い。ボールを奪われにくく、奪いやすいので、安定的にゲームを支配できる。この長所はU-23アジアカップのチームも同じだった。
ただ、アジアカップ準々決勝のヨルダン戦は1-1で延長に突入、さらにPK戦での際どい勝利だった。準決勝の韓国戦も1-0で勝ったものの、終盤は押し込まれて防戦一方になっていた。
ヨルダン戦ではしばしばカウンターアタックされてピンチを招いている。ヨルダンの守備が緩くなって中盤を通過できるので攻め込むのだが、逆に失った際に選手間の距離が長くなっていて逆襲されていた。簡単にいえばゲーム運びの拙さで、現象としてはボールの失い方の悪さ。違う言い方をすると、勝てる構造を作れているのに完遂できない脇の甘さである。
日本はベースのスキルがしっかりしていて、なおかつハードワークができる。そのうえ全員の粒がそろっている。その中でも質が高いのが日本代表にも選出されていた佐藤龍之介だが、ボランチの小倉幸成、CB市原吏音など全体にレベルが高い。そのため保持もプレスもできる。しかし、押し込んでプレスで早期奪回、さらに攻め続けるという勝利の構造を作り切れなかった。
サイドの深いところまでボールを運べていれば、失ってもカウンターは受けにくい。日本のプレスは速く、ボール回収は可能だったはずである。ところが、そこへ行き着く前にボールを失うケースが目立っていた。構造を作り切るために十分な技術がありながら、そうできなかったのは意識の問題だろう。
韓国戦で終盤に押し込まれたのは風下だった影響が大きいが、プレー強度の低下も原因だ。終盤に弱いのはU-17、U-20にも共通していた。
おそらく体力の問題というより、勝ちに近い試合の構造を作れる力がありながら徹底できずロスが多いためではないかと思う。例えば、スペインのように反射レベルでスキルを使いこなし、試合をコントロールするレベルには達していない。
高い個の能力をどうゲームで使うかというところに共通の課題がありそうだが、それとは別に個の能力で足りないのが決定力の部分だ。
チャンスを決め切れないと、勝てる試合を落としてしまう。U-23アジアカップのヨルダン戦と韓国戦は危うくそうなるところだった。U-20のフランス戦も内容的には勝てる試合を決定力不足で落としている。ただ、決定力がやや残念なのはほぼ万国共通なので、本当に突出したアタッカーを持つ例外的な存在になれるかどうかという課題である。
そこまで強力なFWがいると、逆に全員がハードワークできる現在の長所は失われてしまうかもしれない。全員の粒がそろっていることが日本の強みで、安定して好成績をあげている要因だが、そこが崩れてしまう危惧はある。キリアン・エンバペとヴィニシウスの強烈な2人を持ったがゆえに構造を作れないレアル・マドリーという例もあるわけだ。
世界トップクラスに近い日本のアンダー世代だが、トップを狙うには決定力とチームのバランスをどう取るかという未知の課題が残されている。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。




















