W杯メンバー入りへ…序列は「森保さんに聞いてみて」 今のままでは「すごく難しい」

FC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝【写真:藤江直人】
FC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝【写真:藤江直人】

町田の望月ヘンリー海輝「コンスタントに試合に出る、というのが今年の目標」

 6月に開幕する北中米ワールドカップ(W杯)へ向けて、森保ジャパンの国内組も所属クラブで続々と始動している。昨年7月に待望のA代表デビューを果たし、歴史的初勝利をあげた10月のブラジル代表戦を含めて、計5試合に出場したFC町田ゼルビアのDF望月ヘンリー海輝もその一人。しかし、192センチ81キロのサイズを誇るプロ3年目の24歳は、今年の抱負として意外な目標を掲げた。(取材・文=藤江直人)

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 4年に一度のW杯イヤーが幕を開けた。しかも国士舘大学の3年生だった前回カタール大会時とは異なり、望月は森保ジャパンのラージグループに名を連ねている。

 町田のルーキーだった2024年の9、10月シリーズに招集されるも4試合すべてでベンチ外だった望月は、国内組だけの編成で臨んだ昨年7月の東アジアE-1選手権で待望のA代表デビュー。全3試合に出場して優勝に貢献すると、ヨーロッパ組が招集された9、10月シリーズでも引き続きディフェンダー陣に名を連ねた。

 しかも、9月のアメリカ代表戦で右ウイングバックとして先発。後半27分までプレーすると、10月のブラジル代表戦では3-2で迎えた後半40分から途中出場して歴史的初勝利をピッチの上で味わった。天皇杯準決勝と重複した11月シリーズは選外だったが、少しずつながら森保ジャパンでの足跡を確かなものにしていた。

 だからこそ、6月に北中米W杯が待つ2026年の抱負が注目された。しかし、町田が始動した7日のトレーニング後に望月が掲げた目標は、本人をして「抽象的」と苦笑させるものだった。

「とりあえず(町田で)よりコンスタントに試合に出る、というのが今年の目標です」

 昨シーズンの望月はリーグ戦で32試合に出場。そのうち先発は26回で、プレータイムは2441分を数えた。ルーキーイヤーの出場26試合、先発18回、プレータイム1665分から着実に数字を伸ばしている。

 しかし、シーズン序盤は左ウイングバックに左利きの中山雄太、右にそれまで左を担っていた林幸多郎が配置転換された試合が6つを数えた。そのすべてをリザーブのままで終えた軌跡を、望月は反省点にあげる。

「途中からは試合に出られる回数が増えましたけど、序盤で試合に出られなかった期間があった。なので、コンスタントに試合に出ていきながら、プレーに波がない選手になっていきたい」

 もちろん、昨シーズンよりもコンスタントに出場していく先に新たな自分もイメージしている。

「相馬(勇紀)くんみたいにチームを勝たせる存在になるとか、あるいは(昌子)源くんのようにリーダーシップを発揮するとか、何かしらの形でチームを勝たせる選手になっていけばおのずと自分の成長にもつながる。そして、チームが勝つ回数が増えるほどW杯に呼ばれる可能性もより上がっていくと思っているので」

 コンスタントという抽象的なテーマの先に、やはりW杯が据えられていた。ならば、半年後の北中米大会での森保ジャパン入りは、現時点で望月のなかでどのように位置づけられているのか。

「すごく出たい大会ではありますけど、自分の実力を考えると、いまのレベルで出るのはやはりすごく難しいかなと現実的に思うので。すごく難しいですね。W杯の時点での僕のレベル次第ですね」

 右ウイングバックの序列は、堂安律を筆頭に、伊東純也、菅原由勢と考えられる。このなかでに序列を問われた望月は「わからないですね。森保さんにみなさんから聞いてみてください」と笑う。

 森保一監督はどのような青写真を描いているのか。残り5分で堂安に代えて、守備を固める目的を込めて望月を投入したブラジル戦。直後のプレーで背後のスペースを突かれ、引き離された末にクロスをあげられた場面に「ある程度予測はしていました」と苦笑しながら、指揮官は次のように語っている。

「ブラジル戦だけのつもりでは起用していません。彼がE-1選手権まで見せてくれた能力を、あるいはJリーグで見せてくれる能力を、あの状況でどれだけ発揮してくれるのか。出場時間は短かったですけど、実際にW杯に出たときにどうなるのか、というのはブラジル戦で見えてくるのかなと思っていました」

 序列はともかくとして、森保監督の構想に望月もしっかりと名を連ねているのがわかる。さらに代表メンバーを最終的に決める段階までにどれだけ成長しているのか、という点でも考え方は一致している。

 昨シーズンのリーグ戦では3バックの右センターバック(CB)でも5試合で先発した。2月開幕の百年構想リーグでも“二刀流”を想定している望月は、コンスタントという目標にこんな要素も加えている。

「今シーズンはキックの練習をより多くしていきたいと思っています。昨シーズンはトラップの部分にすごく重きを置いていましたし、正直、トラップもキックも両方とも大事ですけど、クロスや最終ラインだったらフィードもあるので、気持ち的にそちら(キック)にメンタルをもっていきつつ、という感じですね」

 ウイングバックとして使われる状況を踏まえた昨シーズンはまずトラップを磨いた。今シーズンはさらに一歩踏み出し、自ら繰り出すパスで味方を使うプレーも向上させる。パフォーマンス面を向上させながら、味方への声がけなどを含めたメンタル面も融合させていく先に波のない選手像が描かれている。

「(パフォーマンスとメンタルの)どちらかが欠けてもすごく難しいと思うし、やはり相乗効果だと思うので。これも抽象的な言い方になっちゃいますけど、両方をあげていくのが僕の目標達成にも近づくのかなと」

 背中を追う町田の先輩選手の一人、昌子からは「休むのも仕事だよ」とアドバイスをもらった。つかの間のオフには三菱養和SCユース時代の後輩と熊本県を旅行し、阿蘇山と草千里ヶ浜を満喫した。

「去年のオフはけっこう動きっ放しでしたけど、今年はちょっと抑え目に。若いうちにいろいろなオフシーズンの過ごし方を試していきながら、自分にはどれがいいのかな、というのを試す一環ですね」

 例えるなら、急がば回れ、となるだろうか。選手ならば誰でも憧れるW杯を控えていても、望月はまずは自分自身が置かれた状況を客観視。そのうえで自分に合ったルートを思い描き、具体的なテーマをいくつか肉づけしながら、代表メンバーが発表される“Xデー”まで成長の二文字を追い求めていく。

(藤江直人 / Fujie Naoto)



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藤江直人

ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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