頭によぎった「もし負けたら」 前回王者を完封…絶体絶命を救った主将「全員の力を借りて」

神戸弘陵DF今井凛太朗が振り返るラストプレー
第104回全国高校サッカー選手権は12月31日に各地で2回戦の試合が行われ、浦和駒場スタジアムの第1試合では神戸弘陵(兵庫)が前回王者の前橋育英(群馬)を2-1で下した。試合終了間際に最終ラインで決死のブロックを見せたキャプテンのDF今井凛太朗は「全員の力を借りてラスト1歩、勇気持って飛び込めた」と笑顔を見せた。
絶体絶命に見えた一瞬だったが、キャプテンマークを巻いたセンターバックが立ちはだかった。ほぼラストプレーという時間帯で、押し込んだ前橋育英は左右からのクロスが増えた。その中でGKも飛び出して無人のゴールになった瞬間、相手選手の前にボールがこぼれた。誰もが同点ゴールかと思った瞬間に今井がブロックし、ほどなくして試合終了のホイッスルが鳴った。
その場面について今井は「最後、相手のフォワードの選手に入った時に、もう体が正直動かなくてゴールにへばりついてブロックする意識になってたんですけど、今までそれで失点してきたし、チームの思いを背負って試合に出ていたので、やっぱりそこはラスト1歩、いつもだったら動けなかったと思うんですけど、本当に全員の力を借りてラスト1歩、勇気持って飛び込めたのかなと思います」と振り返った。
試合終了間際こそ押し込まれたものの、試合全体を見れば堂々たる戦いぶりだった。前半の内にFWの交代を行うのもゲームプラン通りだったと谷純一監督が話したほど、前線の選手が献身的にプレスを掛けてブロックの高さを維持した。相手の攻撃をペナルティーエリアに入れず、セットプレーのこぼれ球と素早いサイドチェンジからFW池壱樹が2得点して、優勝候補の筆頭とも目された前回王者を相手に守備からゲームを組み立てるお手本のような試合でリードを奪った。
今井はその守備について「守備の話ばかりずっとしてきて、(前橋育英の)ボール運びがうまいからとって、ラインを下げてしまったら本当にずっと相手の攻撃が続くし、試合中にちょっと引いてしまった時間は相手の攻撃が本当に続いてしまった。監督も含めて全員で絶対ラインを下げるなって声を掛けて、1枚は絶対ボールに行くっていう意識を持って、チームで80分間走りきりました」と、充実感のある笑顔を見せた。
大会初戦となったこのゲームの前日、ミーティングを終えると「もし負けたらこれで終わってしまうっていう意識が強くなった」今井は明かした。ホテルの自室で「日本一を取りにいけるメンバーなので、しっかりそこをで勝ちにいける準備をしたいなと。選手権予選を勝ち抜いた試合だったり、優勝した後のみんなで喜びを分かち合ってる写真などを見て、まだまだみんなとサッカーしたいなと思いました」と、勝利への思いも新たにしていた。
3回戦では尚志(福島)と対戦する。「本当に長い後半でしんどかったんですけど、全員でやりきったっていう喜びが出てきて、とにかく嬉しかったです」と笑顔で語ったキャプテン。2回戦の勝利は、全員で年を越せることも意味する。強豪との対戦が続く埼玉ブロックだが、過去最高成績のベスト8を超える自信を得るのには十分すぎる前回王者の撃破だった。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)












