強豪校でわずか出場”2分“→コンバートで主力に 187cm逸材が掲げる野望「もっとみんなを助けたい」

優勝に貢献した昌平3年生CB伊藤隆寛
第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。
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第27回は埼玉県決勝の昌平vs武南から。昨年度のインターハイ王者と伝統校の一戦は両者一歩も譲らず。一進一退の攻防が続いた後半アディショナルタイム2分、昌平のMF長璃喜の閃光のようなドリブルシュートが決まり、昌平が2年ぶり7回目の選手権出場を手にした。
不動のCBとしてプレミアリーグEASTの全試合フル出場を果たし、今予選でも身体を張った守備で優勝に貢献した3年生CB伊藤隆寛について。
187cmの圧倒的なサイズを持ち、ビルドアップ能力の高さを発揮する彼は、CBがメインポジションになったのは今年からだった。
それまではトップ下やボランチをこなしてきた。小学校時代にさいたまシティーノースでプレーしていた時、「ちょうどトップ下などをやっていて、ボールをつなぐことが大好きで、ラヴィーダの攻撃的なサッカーを見て、『ここでやりたい』と思いました」と、技術レベルの高さに憧れて昌平の下部組織にあたるFCラヴィーダに加入した。
加入した時の身長は163cmだったが、中学の3年間で身長は182cmまでに伸びた。急激な伸びに身体操作の面では難しさを感じることが増えたが、父親から「大きさに頼るプレーをしちゃいけないぞ」というアドバイスをもらい、ヘッドなどを鍛えながらも、足元の技術は磨き続けた。
しかし、高校に進学するとボランチやトップ下のポジションは技術的もトップレベルの選手がこなす花形のポジションとなり、なかなかトップチームで出番を掴むことができなかった。
「ボランチには大谷湊斗(筑波大)さんをはじめ、うまい選手が多くてどうすべきかを考えていた」
昨年、プレミアリーグEASTに2試合出場するが、プレー時間は2分程度だった。高校最後の一年を迎える時、そのサイズと技術を評価されてCBのポジションを託され、背番号も3になった。
「高校に入ってからも身体がうまく動かない時期もありましたが、宮崎宏基フィジカルトレーナーと体の動かし方や筋トレ、走り方を学んで徐々にフィットするようになってきました」
サイズと身体操作がマッチしたことでCBにコンバートをされても順応し、攻撃面の持ち味も発揮できるようになった。制空権を握り、カバーリング、対人、そしてビルドアップという昌平のCBに課せられる多岐に渡るタスクを彼はきっちりとこなして行った。
今年のプレミアEASTは全試合フル出場し、2ゴールをマーク。キャプテンとしてもチームの先頭に立ち、チームにとって必要不可欠の存在となった。
迎えた高校最後の選手権予選は苦戦の連続だった。決勝まですべての試合で失点を喫するなど、DFリーダーとして大きな責任を感じていた。だからこそ、決勝ではその思いをぶつけるかのように気迫のディフェンスを見せ、1-0の完封勝利で昌平を2年ぶりの選手権に導いた。
「ピンチの連続でしたが、GKの小野寺太郎に助けられましたし、(山口)豪太と(長)璃喜も試合を引っ張ってくれました。ただ、僕がもっと守備陣がゲームを作ることができたらここまで苦戦することはなかったと思うので、今日は完封ですが周りに助けられた結果でもあるので、全国までに守備から鍛え直して、攻撃陣を支えたいと思います」
これから先はプレミア残留、そして選手権の舞台でチーム初の国立でのプレーと、まだまだやるべきことは多い。憧れたチームで努力して掴んだ新境地に立つ伊藤は、最後に純粋な思いをストレートにこう口にした。
「このメンバーでサッカーできることは本当に幸せなこと。失点0で抑えてもっとみんなを助けたいと言う気持ちが大きいんです。全国までにもっともっと自分が広い範囲を守れるようになって、相手の攻撃をシャットアウトできるようにしたいです」
(FOOTBALL ZONE編集部)




















