黒田監督の予言的中「必ず1回起こる」 知り尽くした”決勝の舞台”「幾度となくやってきた」

町田が神戸を3-1で下しクラブ初の天皇杯制覇
天皇杯第105回全国サッカー選手権大会の決勝が11月22日に国立競技場で行われ、FC町田ゼルビアが3-1でヴィッセル神戸に勝利して初優勝を果たした。クラブとして未経験の舞台だったが、高校サッカーで青森山田高校を長年にわたって率いた決勝戦の経験が豊富な黒田剛監督の「前半15分までには必ず得点が動く」という予言が的中していた。
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町田は2023年に黒田監督が就任してJ2優勝し、昨季はJ1昇格初年度でリーグ優勝争いを演じた。しかし、チームにはDF昌子源やMF中山雄太といった他クラブでのタイトル経験選手や日本代表歴のある選手もいるが、クラブとしては国内三大タイトルでの優勝が懸かったゲームは初めてだった。一方で、黒田監督は全国高校サッカー選手権での3度優勝など、カテゴリーこそ違うが決勝戦を知り尽くしている。
その黒田監督は、ミーティングで「高校サッカー時代に幾度となく国立、埼玉スタジアムで、ファイナルという重圧の懸かったゲームをやってきた中で感じたことを素直に選手たちには伝えさせてもらいました」と、選手たちに伝えたことを試合後の記者会見で明かした。
そして「些細なPKを取られるのか、またはフリーキックが入るのか、または単純なボールロストをして1点取られるのか、そういうイメージしなかったものが15分以内に必ず1回起こるというようなことを話しました」という指揮官の予言通りに試合は動いた。
前半6分に町田は中盤から攻撃参加した中山が左サイドを縦に突破すると早いクロスをゴール前へ。ニアサイドに飛び込んだFW藤尾翔太が飛び出してくるGK前川黛也の前でボールに触ると、浮き上がったボールがバウンドしてゴール内へ吸い込まれた。空中に浮いたボールにスタジアム全体の時間が止まったような不思議な雰囲気の中、町田に先制点が転がり込んだ。
黒田監督は、その「前半15分までには必ず得点が動く」という根拠について、過去に高校サッカーの舞台で実績を残してきた先人たちの教えもあったと明かす。そして、国立競技場や埼玉スタジアムで何度も経験してきた決勝戦という舞台についてこう話した。
「実際に多くの試合、負けた試合を含めて、この15分までに予期しない失点を繰り返して、その1点が最終的には重くのし掛かり0-1で負けたゲームもありました。本当にこの15分の入り方によって、国立というのは恐ろしいぐらいに結果を左右してくる。終わってみれば、あっけない失点、こんなのが入ったのかっていう得点によって優勝が決まるという、それぐらいシンプルなんですけども、力が入ってなかなかそのシンプルな状況を表現することができないっていうのがこの決勝という舞台なんだと思います」
そして、「アマチュアの高校サッカーっていう、ただのそういった名刺みたいなものだと感じたかもしれないんですが、それを信じて戦ってくれた」と、その言葉を選手たちが真摯に受け止めて決勝戦に臨んだことへの感謝も口にした。
高校サッカー界の名将が異例の転身として話題になってきて3シーズンになるが、黒田監督は「日々不安と戦いながら、恐怖と戦いながら、果たして自分がそのタイトルというとこにたどり着けるのかどうか、本当に自分の中でも自問自答しながら進んできた3年間でもありました」と話す。
カテゴリーやプロとアマチュアの違いこそあれ、同じサッカーであり全てを懸けた決勝戦という試合の重みも変わらない。黒田監督自身が「国立の魔物」と表現したプレッシャーへの対処法を選手たちに伝えたことは、町田の初優勝を支える力になったと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)





















