3戦未勝利→3連勝、森保Jを復調させた34歳 好守に圧倒的な活躍も…浮き彫りになった“懸案事項”

抜群の貢献度だった谷口彰悟
アジア予選の後、日本代表はメキシコ、米国、パラグアイ、ブラジル、ガーナ、ボリビアと6試合を行って3勝2分1敗。
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同じW杯中堅国のメキシコにドロー、米国に完敗した。ノックアウトステージで対戦しそうな準強豪のパラグアイに2-2。ここまでの3試合に勝てていなかったが、強豪ブラジルに逆転勝利すると、ガーナとボリビアに連勝して年内を締めくくった。
勝利した3試合と勝てなかった3試合の違いは34歳・谷口彰悟の有無だった。
ブラジル戦から3バックのセンターに谷口が入った。CBの左右はブラジル戦、ガーナ戦が渡辺剛と鈴木淳之介。ボリビア戦は板倉滉と瀬古歩夢だったが、谷口だけは3試合連続で出場している。
負傷者続出でどうなることかと心配されたDF陣だったが、6試合を消化した現在の懸案事項は谷口のバックアップをどうするかに絞られてきた感がある。ブラジル戦の途中から一段階上の選手になったように見える鈴木は、次のガーナ戦ではもはや貫録のプレーぶり。伊藤洋輝や町田浩樹が復帰しても簡単にポジションを明け渡すことはなさそうだ。右も板倉滉が復帰して渡辺とのポジション争いになる。
ただ、谷口のバックアップがいない。谷口が定着する前のCBは渡辺が2試合、荒木隼人が1試合プレーしているが、その後の谷口のパフォーマンスと比較すると物足りない。谷口を脅かす存在としては冨安健洋がいるが、負傷から回復して試合勘も戻し、トップコンディションになっているという条件付きだ。
日本の最大の強みは機能性の高いハイプレスだと思う。
これに関しては技術の高さに定評のあるメキシコ、ブラジルにも有効だったので、ごく一部の強豪を除けば通用すると思われる。前進守備の強さは現代サッカーにおいてメリットが大きい。敵陣に押し込んでしまえばボールを持っても持たなくても「攻撃」できる。ローブロックを崩せるかどうかより、敵陣でボールを奪う方が得点の近道だからだ。
ここでポイントになるのはDFの対人能力だ。
日本はマンツーマンでプレッシングを行うので、DFも1対1でカバーがいない状態になっている。とくにCBが1対1でやられれば、そのままゴールへ直行されてしまう。日本の3バックは1対1の強さを見せた。谷口は空中戦、地上戦ともに強さを発揮。とくにガーナ戦は圧巻のプレーぶりだった。
また、前進守備のためにはボールが敵陣になければならない。自陣深くから相手のハイプレスを外して敵陣へ運ぶビルドアップもカギになるのだが、この面でも谷口の貢献は大きかった。
相手がマンツーマンでハイプレスを仕掛けてくる場合は、GKがいる数的優位を活かしながら、プレスで前進する相手の背後へボールをつないでいく。最初にフリーでいるGKに向かわせることでフィールドプレーヤーを1人フリーにし、そこへのプレスで生じる別のフリーマンを使っていく手順。日本のDFはその定石を理解していて安全にボールを運べていた。谷口はGKへバックパスする素振りからマークを外すなど、さらに一枚上の対応をみせていてビルドアップでも頼りになる存在だった。
今や攻守両面で不可欠のCBとなっているだけに、谷口のバックアップを用意することが急務だろう。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。





















