繋いだ3人のバトン 残留争いの立場から変貌「誇りに思う」…決勝逃し長友佑都「敗者に口なし」

FC東京のタイトルを懸けた戦いが準決勝で終わった【写真:徳原隆元】
FC東京のタイトルを懸けた戦いが準決勝で終わった【写真:徳原隆元】

5年ぶりタイトルを目指す戦いが終了した

 FC東京は11月16日、天皇杯準決勝でFC町田ゼルビアと対戦し、0-2で敗れた。2020年のルヴァンカップ以来となるタイトル獲得に向けた戦いに臨むもベスト4で敗退。選手たちは試合後のミックスゾーンでそれぞれの思いを話した。

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 最後まで出し尽くした120分間だった。試合終了の笛がなると、GK波多野豪はしゃがみこんでピッチを見つめ、DF室屋成は膝に手をついてその場を動けなかった。120分間の死闘を戦った選手たちに対して、ファン・サポーターは拍手で労った。

 低空飛行だった序盤戦から、天皇杯のタイトルを狙えるところまで這い上がってきた。中盤戦に差し掛かった頃に3バックから4バックに変更し、夏の移籍市場で加入したGKキム・スンギュ、DFアレクサンダー・ショルツ、室屋、FW長倉幹樹らがチームを変え、後半戦だけの成績で見ればリーグTOP5に入る好成績。天皇杯ではタイトルが狙える準決勝まで勝ち上がった。

 それでも決勝の舞台には届かず、準決勝で終戦。先週のリーグ戦では町田に1-0で勝利したものの、決勝戦進出を懸けた戦いに敗れた。室屋は「今はあんまり考えられないですけど残念です」と悔しさを吐露。それでも、「このチームを本当に誇りに思いますし、一時は残留争いしてたなかで、そこからこのチームを作り上げた、リキさんも含めてスタッフの努力だったり、チームメイトたちに本当に感謝したいなと思います」と、後半戦で立て直しに成功したチームを讃えた。

 松橋力蔵監督も試合後の会見で「選手はしっかりとファイトしてくれたと思うし、素晴らしいプレーをしてくれた」と選手を労い、DF森重真人は「これだけ怪我人が出ながらも、チーム力が示せた」と話したが、DF長友佑都は「敗者に口なし」と一言呟いてミックスゾーンを後にした。

 選手の思いをつなぐ大会でもあった。キム・スンギュが韓国代表に選出されたため、この試合では波多野が今大会で初めてゴールマウスに立った。6月にベルギー1部アントワープに移籍したGK野澤大志ブランドンも含め、3人目として天皇杯のバトンを受け取った。FC東京のゴール裏は、波多野にこの日1番の声援を送り、波多野もまた、それに応えるようなプレーで示したが、結果は振るわず。「(声援は)すごい嬉しかったですし、あの声援に応えたかった。皆さんを決勝に連れていけなくて、本当に悔しいです」と唇を噛んだ。

 天皇杯の戦いも終わり、残すはリーグ戦2試合のみとなった。FC東京の立ち位置的に難しい状況での試合になるが、MF高宇洋は「消化ゲームとかそういうのはないと思う。しっかり戦う姿を最低限出せたら」と前を向く。ベテランの森重も「いろんなニュースが入ってきたりするなかで、モチベーションも難しいと思うけど、FC東京というチームでやってる限りはやっぱ責任がある」と最後まで責任を全うするつもり。青赤の選手たちは残り2試合を”消化試合”で終わらせるつもりはない。ファン・サポーターに勝利を届けるために、今季のラストスパートを駆ける。

(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)



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