勝つための「大前提」 14年ぶりの舞台へ「次、勝った方が勝者」…森重真人の決意「責任を持って」

FC東京の森重真人が思いを語る【写真:(C) FCTOKYO】
FC東京の森重真人が思いを語る【写真:(C) FCTOKYO】

森重真人が明かす今季のターニングポイント

 天皇杯で準決勝まで進み、2020シーズン以来のタイトル獲得が近づいているFC東京。38歳の今もなおJ1リーグの最前線で戦う元日本代表DF森重真人が、天皇杯のタイトルに懸ける思い、後半戦のターニングポイント、そしてシーズン最終盤で見せたい姿を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

   ♢   ♢   ♢   

 38歳となった今季はプロ20年目。青赤のユニフォームに袖を通して16年目のシーズンも最終盤を迎えている。森重は11月16日の天皇杯準決勝・FC町田ゼルビア戦に向けて「タイトルがどれほど価値のあることかを、それぞれの時代で感じ取らなければいけない」と、その重みを語る。

 FC東京が直近でタイトルを獲得したのは2020シーズンのルヴァンカップ。天皇杯での優勝は2011年が最後になる。森重は当時の天皇杯優勝について「覚えてない」と冗談を交えて笑いつつも、「決勝で優勝してカップを掲げるのと、2位で終わって『惜しかったね』と言われるのでは、手に入れられるものが全く違う」と、勝者だけが得られるものの大きさを強調する。

「優勝以外は意味がないと言えるほど差がある。決勝の舞台で戦う経験自体も大きいし、目標を達成できるかどうかは成功体験として人生に残る。やはりそれは大きな差だと思う」

 今季のFC東京は松橋力蔵監督の下、3バックでシーズンをスタート。開幕戦は白星発進も、6月には降格圏の18位に低迷した。それでも4バックへの変更と新加入選手の台頭でチームは一変。森重自身も「少しずつ光が見える戦いができてきた」と後半戦の手応えを語り、天皇杯でもタイトルに手が届く位置まで進んできた。

 上昇の要因として、ドイツ・ブンデスリーガ2部のハノーファーから復帰したDF室屋成、カタール1部アル・ワクラSCから加入したDFアレクサンダー・ショルツの影響を挙げる。とりわけ、ショルツと室屋がそろった初戦、自身がPKを決めて勝利した第22節の横浜FC戦(2-1)、第24節の浦和レッズ戦(3-2)が“ターニングポイント”だったという。

「ショルツや成が加入して、新しい個性をチームにもたらし、これまでの“ルール”をある意味で壊してくれた。チーム全体が型に縛られすぎていた部分を解放してくれたと思う」

 3バックから4バックへの移行については「解放された感じがある」と表現する。前半戦(第1~19節)の勝ち点が「19」だったのに対し、後半戦(第20~36節)は「29」。前半戦を「暗闇の中を手探りで進んでいるような感覚」と振り返りつつ、「明かりのある中で組み立てられるようになった。課題も明確になり、ひとつひとつ積み重ねられるようになった」と現状を見つめる。

 システム変更や新戦力に注目が集まる一方で、若手の台頭も見逃せない。FW佐藤恵允については名指しで期待を寄せる。

「やっぱり恵允じゃないかな。もともと能力はあったが、どこか吹っ切れない部分があった。1点を取ったことで殻が破れた感じがある。性格的にも前向きで、チームに良い影響を与えている。黒子としてハードワークもしてくれるし、得点も取れるようになってきた。これからの期待を込めて、もう一段爆発してほしい」

 そして、最終盤の残り試合でファン・サポーターに見せたい姿を、言葉に力を込めて語る。

「次の町田戦に懸ける想いはものすごく強い。まずは“気持ちの部分で負けない”ことが大前提です。準決勝が重要だというのはみんなが感じていて、その思いがいろんなところで声にも出ている。やっぱり『次、勝った方が本当の勝者』だと思う。

 前半戦は苦しんだけど、後半戦は少しずつ光が見える戦いができてきた。リーグでは順位を一つでも上げたいし、FC東京のエンブレムを背負う以上、責任を持って最後まで戦いたい。この時期はいろんなニュースが飛び交って難しいが、最後までFC東京の一員として戦う姿をファン・サポーターに見せたいと思います」

 リーグ戦は残り2試合。天皇杯では町田との決戦が迫る。青赤の背番号「3」は、最後の砦としてチームに栄冠をもたらす覚悟で臨む。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング