1か月サッカーできず「何もできない自分に無力感」 深めた戦術理解…大舞台で狙う一撃

帝京大可児の杉田結飛「選手権はスタンドで悔しい思いをして見ていた記憶」
第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。
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第12回は岐阜県予選決勝。大会6連覇中の帝京大可児と近年メキメキと頭角を現してきた新鋭・美濃加茂との一戦から。
帝京大可児の得点源の1つにサイドバックがある。タイミングを見て中に入ってきて攻撃の組み立てをするだけではなく、ファイナルサードにも顔を出す。この試合も両サイドバックが先制点と決勝点を奪った。そのうちの決勝弾を奪った左サイドバック・杉田結飛が口にする帝京大可児のサッカーとは。
前半13分、杉田も絡んだ左サイドのビルドアップで相手が同サイドに寄った瞬間を右サイドバックの石川颯人が見逃さずに中央のスペースに入ると、横パスを受けて技ありドリブルから先制弾を叩き込んだ。
そして1-1で迎えた前半23分、右CKからMF伊藤彰一が蹴ったボールをニアでDF佐藤弘汰がヘッドですらし、ファーに飛び込んだ杉田がバックステップを入れながら右足ボレー。
「流れてくるとは思っていたので準備をしていました。ヘッドですらした瞬間はボールが見えなかったのですが、瞬時に軌道を捉えることができて、ふかさないように体を倒して合わせることを意識しました」と、ピッチすれすれの難しいボールに対し、身体を倒しながらボレーで合わせて決勝弾をマークした。
「サイドバックがどんどん攻撃参加をするのが自分たちのサッカー。だからこそ、自分の役割はいつも重要だと思っていますし、決勝で結果として示すことができて良かったと思います」
杉田はプリンスリーグ東海でも1ゴール、夏のインターハイでも滝川第二を相手にサイドバックとは思えないゴール前へのスペースへの潜りこみから1ゴールをマークしている。だが、10月にグロインペイン症候群となり、1か月間サッカーをすることができなかった。
「何もできない自分に無力感を覚えたのですが、逆にもう一度帝京大可児のサイドバックとしてやるべきことを整理しようと思った」と、自分たちのサッカーを俯瞰で見ながら、自分だったらあのスペースを使っていた、あのスペースは見えていなかったなど、自分の見えていた景色と重ね合わせながらイメージと戦術理解を深めた。
選手権予選は準決勝の中京戦で復帰。タイミングのあった攻撃参加とポジショニングで1-0の完封勝利に貢献すると、決勝では決勝弾を挙げ、帝京大可児のサイドバックたる所以をプレーと結果で示した。
「まだコンディションが万全ではなく、最後に足を攣って交代してしまったのは悔しいです。でも、全体を通して左サイドハーフの黒沢一斗との距離感、ポジションバランスを常に意識をして、ポケットを取ったり、ワイドを取ったり、2人で崩すことや彼のドリブルが生かせるように考えながらプレーすることができた。
守備は常に意識しながらも、カウンターとなったら迷わず仕掛ける。そうすることで僕らの攻撃的なサッカーが成り立つと思うので、首を振って周りの状況を把握しながら、アタッカー陣が求めている場所、スペースに動いて攻撃を活性化させることを大事にしています」
これで7年連続12回目の選手権出場は決まった。杉田にとっては初の選手権となるが、大舞台になればなるほど結果を出せる男は、全国大会での一撃を狙っている。
「昨年はトップに上がったのに、選手権予選前にメンバー落ちをして、選手権はスタンドで悔しい思いをして見ていた記憶があります。だからこそ、今年は最後の選手権なのでしっかりと守備をしながら、攻撃参加を繰り返してゴールという結果に結び付けたい」
相手の間隙をついて、鋭く、そして賢くゴールに迫ってくるサイドバックには注意が必要だ。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















