1年生で選手権デビューも「色んなこと考えた」 マルチロールへ進化…全国制覇へ「自分が強く要求」

流通経済大柏の古川蒼真【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
流通経済大柏の古川蒼真【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

流通経済大柏2年MF古川蒼真「自分のプレーの幅を広げている」

 第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。

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 今回は千葉県予選準決勝、流通経済大柏vs市立船橋のビッグカードから。ともにプレミアリーグEASTに所属し、「昨年度準優勝校vs一昨年度ベスト4」という全国大会決勝でもおかしくないビッグカードは、延長戦までもつれ込む激闘の末に4-3で流通経済大柏に軍配が上がった。2年生ながらすでにチームの構成に欠かせない存在となっているMF古川蒼真、FW以外ならどこでもこなせるユーティリティーが見つめるものとは。

 流通経済大柏といえば、その強さの秘訣は圧倒的な選手層にある。チーム内競争が激しく、毎年多くの選手がリーグ戦を経験し、夏以降になるとセカンドチームで急成長した選手がトップのスタメンを奪い取り、そのまま選手権の主役になっていく。

 その中で古川は昨年、1年生ながらプレミアリーグEASTでデビュー。準優勝した選手権では準々決勝の上田西戦でベンチ入りと途中出場でピッチを踏んだ。今年はサイドバック、サイドハーフ、ボランチ、トップ下としてプレミアリーグEASTにおいて17試合に出場。インターハイはベンチ入りを逃したが、安定した技術と冷静な判断力、そして173センチと大柄ではないが空中戦に強く、対人能力もあるため、どのポジションでも高い適応力を見せる。

 市船戦では左サイドハーフでスタメン出場をすると、ボールをキープして周りを押し上げてから的確なパスを出したり、逆サイドのMF真壁英人、DF乙川宙の攻撃力を引き出した。一方で、同サイドのサイドバック・増田大空(ジュビロ磐田内定)がフリーでクロスを上げたり、オーバーラップやインナーラップをしたりできるように抜群のポジショニングとプレー選択を見せた。

 左サイドでゲームを作って、中央と右で勝負をする形で、ゴールこそ関わらなかったが全体のリズムメークを、延長戦を含めて100分間最後までやり切った。

「この1年間は本当にいろんなことを考えてサッカーをしました。1年の時から貴重な経験を積ませてもらって、今年は複数のポジションをこなすことで、自分のプレーの幅を広げている。来年は自分が中心にやっていかないといけないと思っているので、この2年間で大きく成長したいと思ってプレーしています」

中学時代にはクラブユースで全国制覇を経験

 小さい頃から運動神経は抜群だった。小学校時代はサッカーだけではなく、ロードレースもやっており、市の大会で優勝を遂げるほどの腕前だった。FC多摩ジュニアユース時代はCBとして高い守備力を発揮し、中学3年時には日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会では、守備の要として並居る強豪Jクラブユースなどを次々となぎ倒して、チームを全国制覇に導いた。だが、高校では1年からトップに加わるも、萎縮してしまう自分がいた。

「上級生に強く要求ができなくて、選手権はただピッチに立たせてもらったに過ぎない印象でした。強い気持ちでのプレーができなくて、持ち味が出せないまま、『選手権ってこういう舞台なんだ』という雰囲気だけをただ味わった大会でした。それが今でも悔しいからこそ、今年は自分が強く周りに要求をして、試合の流れを作っていく気持ちでプレーしています」

 高校での1年間でメンタルが鍛えられた。自信を持って臨んだ今回の選手権予選。それでも市船戦では2点リードから一度は追い付かれるなど、相手に飲み込まれそうになった。

「後半は特に競り合いの部分などでてこずってしまった。正直、相手が市船であの展開になって、自分の中でも空回りしてしまった部分があって、ほんの一瞬の迷いだったり、ミスだったりが、すぐにピンチにつながる。選手権予選の怖さ、難しさをまざまざと痛感しました」

 それでも気丈に最後までピッチに立ち続けて勝利を掴み取ったことが、この1年間の成長を表している。決勝で勝利をして2年連続の選手権に出場し、今度は主役の1人になるという思いを期している。攻守のマルチロールは選手権に対する熱い思いとともに、チームに躍動を生み出していく。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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