Jユース昇格断り→憧れの強豪校へ 進路決めるも”つてなし”…担任へ相談し「思いが通じた」

静岡学園2年生MF松永悠輝
第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。
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第6回は静岡県予選準々決勝・第一試合、プレミアリーグWEST9位の静岡学園高と、県リーグ1部6位の名門・清水桜が丘(旧・清水市商業)の一戦から。筆者がこの試合で一番目を奪われたのは、0-0で迎えた後半から投入された2年生MF松永悠輝だった。なぜ目を奪われたのか、それは彼の卓越したボールフィールディングにあった。
後半から投入された21番は左サイドバックに入った。ポゼッションから彼にボールが渡ると、サイドバックとは思えないボールの持ち方を見せた。
スッと背筋が伸びた姿勢で、両足で正確にボールをタッチする。パスセンスもさることながら、ゆっくりとしたポゼッションから縦パスでスイッチが入ると、彼は一気に豹変を見せる。
中央やハーフスペースに飛び込んで、パスを受けると相手を食いつかせてからパスやドリブルで逆をついたり、パスを受けた段階ですでに1人を剥がしていたりと、技術抜群のアタッカーのようなプレーを見せて攻撃を活性化させた。
ただのドリブラーではない。常に相手の裏や相手の間のスペース、空間を狙っていて、そこにボールを持った状態でも、持っていない状態でも絶妙なタイミングでスルスルっと侵入していく。侵入後は正確な両足のボールコントロールで次のプレーがしやすい場所にボールを置く。まさに2手、3手先を見据えながら技術を発揮して行くタイプの選手だと感じた。
後半40分間を通して、静学が誇る藤原晃太郎と神吉俊之介の個人技を持つ両サイドアタッカーと、チームの心臓である四海星南と足立羽琉のインサイドハーフとスムーズな連係を見せた彼について試合後に川口修監督に話を聞くと、満面の笑みを見せてこう評した。
「彼はね、本当に物凄い才能を持っていると思う。技術レベルが抜きん出ていて、プロになれる素材だと思う」
多くのプロを輩出した名将も大きな期待を寄せるほど、彼のセンスは魅力的だった。本人に話を聞くと、ハキハキとした口調で受け答えをしてくれた。
「ずっと静学のサッカーに憧れていたんです。小学校の時から親にネイマール、ロナウジーニョ、メッシのドリブルの映像を見せてもらって、夢中になって真似をしていました。5年生の時に高校選手権をテレビで見ていて、優勝した静学のサッカーに衝撃を受けました」
MF松村優太(鹿島アントラーズ)、浅倉廉(藤枝MYFC)、DF田邉秀斗(川崎フロンターレ)らを擁し、第98回大会で24年ぶり2度目、かつ初の単独優勝(初優勝は鹿児島実業と両校優勝)を成し遂げたサッカーは、ずっと彼の心に残り続けた。
湘南ベルマーレU-15でトップ下としてプレーしていた中学3年生の6月、U-18への昇格の話が届いた。その一方で静学からのオファーは届いていないどころか、接点すらない状況だったゆえに、彼は悩みに悩んだ。
「そのままユースに進むことも考えましたが、やっぱり静学に行きたい気持ちは変わらなかった。憧れのユニフォームを着て、技術をもっと伸ばしたいと強く思った」
覚悟を決めた松永はアプローチ方法をネットで調べて、「入部希望者は学校の先生から連絡をしてください」という文言を見て、すぐに担任の先生にお願いをした。担任経由で練習参加が実現し、セレクションに臨むとOKの返事が届いた。
「思いが通じたと思いました。絶対にここでもっとドリブルを磨いて、相手にとって怖い選手になろうと思いました」
1年時にサイドハーフにコンバートされると、縦突破やカットイン、中に入っていって崩しに関わったり、3人目の動きでスペースを攻略したりと、プレーの幅が一気に広がった。2年生になった今年は怪我を繰り返したことも影響し、プレミアWESTで8試合出場に止まるなど、レギュラー定着とまでは行かないが、試合の流れを作り出す重要なタレントの1人として位置付けられている。
「まずはレギュラーを掴むこと。憧れの選手権の舞台に立つこと。しっかりと目標を持って挑んでいきたいと思います」
彼の名が全国に轟くのはそう遠い話ではないだろう。大きなポテンシャルを持った高性能なハイブリッドドリブラーにぜひ注目をしてほしい。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















