11月の森保ジャパンでサプライズ候補は? 3バックで選出に変化…試すべき”絶好調男”

11月シリーズで招集の可能性がありそうな選手たち【写真:Belga Image & 西村尚己/アフロスポーツ & 徳原隆元】
11月シリーズで招集の可能性がありそうな選手たち【写真:Belga Image & 西村尚己/アフロスポーツ & 徳原隆元】

日本代表は14日にガーナ、18日にボリビアと対戦

 2025年の日本代表もあと2試合となった。来年のワールドカップメンバー入りを狙う選手たちにとって、残されたアピールのチャンスは少ない。この先に森保一監督がこれまで招集しなかった選手を急に呼ぶ「サプライズ」招集はあるのだろうか。データを見る限り、その可能性は低そうだ。

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 森保監督は数多くの選手を試してきた。ところが毎回の招集の中で初招集の選手は多くない。たとえば2022年、中止になった1月21日のウズベキスタン戦を含めてワールドカップのメンバー発表まで14試合あったが、そこまでに14人が初招集されている。しかし、そのうち11人は7月のE-1選手権での選出であり、実質的には11試合で3人しか選ばれていない。

 この傾向は2023年以降も続いている。2023年は2024年1月1日に開催されたタイ戦を含めて11試合。そこまでに18人招集されているものの、大幅にメンバーを入れ替えた3月、タイ戦に向けたメンバーを除くと6人になる。

 2024年は16試合(うち1試合は中止)で4人、2025年は10月までに11試合で20人と大人数を呼んだものの、ワールドカップ本大会出場を決めた後の6月に7人、7月のE-1選手権で12人だったということは、それ以外なら10月の斉藤光毅ただ一人なのだ。

 つまり今回も初招集は1人、あるいは誰もいないと思ったほうがいいだろう。森保監督が新しい選手よりも、10月の鈴木淳之介のように、これまでの出場機会の少なかった選手を試しておくほうが得策と思っているのは間違いない。

 また、森保監督が新たに招集してきたDFは、2023年までとそれ以降で大きな違いがある。2023年は初招集のDF5人のうち、サイドバックが4人、センターバックは1人だった。だが2024年以降に初めて呼ばれたDF5人はサイドバックが1人、センターバックが4人だ。

 この背景は二つある。1つは冨安健洋(無所属)、伊藤洋輝(バイエルン/ドイツ)という2022年ワールドカップに出場したセンターバックが負傷していること。町田浩樹(ホッフェンハイム/ドイツ)は欠場中で、板倉滉(アヤックス/オランダ)は10月26日のトゥエンテ戦、前半のみで交代した。

 渡辺剛(フェイエノールト/オランダ)、谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)はフル出場しているものの、大南拓磨(ルーヴェン/ベルギー)は5試合連続勝ちなしで降格圏に沈み10月25日の試合ではベンチ外となった。他にも高井幸大(トッテナム/イングランド)はまだ出場機会をつかめていない。

 もう1つは戦術の変化だ。望月ヘンリー海輝(町田)を守備固めでウイングバックに入れているように、センターバックが出来る選手をサイドに配置して、日本が苦手としてきたハイクロスへの対応を強化する戦い方を視野に入れているため、センターバックの選手の人数がこれまで以上に必要になってきている。

 ということで、今回森保監督は、これまで招集したけれども出場機会の少ないセンターバックを試すのではないだろうか。

 鈴木淳之介(コペンハーゲン/デンマーク)は継続して招集されるのが確実だろう。関根も中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)や伊東純也(ゲンク/ベルギー)とチームメイト、ともにプレーしたことあるという関係性を考えると入れておくべきだ。

 他に経験が少ない選手と言えば、綱島悠斗(アントワープ/ベルギー)、角田涼太朗(横浜FM)、藤井陽也(名古屋)、安藤智哉(福岡)、関根大輝(スタッド・ランス/フランス2部)ということになる。

 この中から試しておくべきは綱島ではないだろうか。国内組は詳しくチェックする機会がある。だが綱島はベルギー移籍前の7月のE-1選手権で試したのみ。海外移籍した当初は足の痙攣で途中交代が多かったが、直近5試合はフル出場を続けている。ここは、海外組も入れて構成される日本代表の中でどれだけプレーできるかチェックしておいたほうがいいだろう。

 そしてMF/FWは、2023年以降に呼ばれ始めた選手が30人になるが、その中で定着したと言えるのは中村と佐野海舟(マインツ/ドイツ)だけになる。ということは、もうすでにMF/FWは十分な選手層があると言えるのだろうが、今回もう一人、試していいと思う選手がいる。

 それは現在絶好調の伊藤達哉(川崎)だ。現在のJ1の中で、次元の違うプレーを見せている1人だと言えるだろう。まるで相手が止まっているかのように切り裂き、ここまでに12ゴールを挙げている。

 高校3年でヨーロッパに渡り、ドイツのトップリーグでの得点はなかったが、その苦労が今、Jリーグで結実している。国際試合でどこまでできるか、楽しみな選手だ。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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