緊迫の無線交信「いや違う」「今」 新ルール“FVS”で明暗…監督が明かす「レッドだろうと」

船越優蔵監督がFVSの難しさを明かした【写真:AP/アフロ】
船越優蔵監督がFVSの難しさを明かした【写真:AP/アフロ】

U-20日本代表が帰国、「FVS」に船越優蔵監督「専門のスタッフが必要」

 FIFA U-20ワールドカップを戦ったU-20日本代表が10月11日、開催国のチリから帰国した。グループステージ3試合を全勝で勝ち上がったが、ラウンド16でフランスに敗れて無念のベスト16敗退。両チームの明暗を分けた「FVS(フットボール・ビデオ・サポート)」について、船越優蔵監督が本音を明かした。

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 今大会で導入されている「FVS」とは、「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」とは少し異なるビデオ判定システムのことだ。審判員の助言によって行使されるVARとの大きな違いは、両チームにそれぞれ2度のリクエスト権が与えられ、チェックしてほしい事象が発生すれば、四審に直接要求できる点だ。

 フランス戦では、このFVSが両チームの明暗を分けた。延長に入るとさらに1回ずつのリクエスト権が増えるため、タイムアップが近づくにつれてリクエストが多発。そして終了間際、両チーム合計5回目でついに判定が覆る。日本のハンドを取られると、後半アディショナルタイムにPKで決勝ゴールを許した。

 船越監督はFVSについて、「やっている身からすると、ベンチのスタッフは大変だと思います。やっぱり試合に集中できないというのは感じました」と本音。何かが起こった際には、試合を見ながら巻き戻して確認しなければならず、「専門のスタッフがやっぱり必要なのかなというのは思いました」と指摘した。

 後半35分には、MF小倉幸成が足裏で激しくタックルを受けてリクエストを要求した。しかし、判定は覆らなかったことで「審判の判定の基準には差はあるなとは思っています」と船越監督。「小倉がやられたのは絶対レッドだろうと思っていますけども、出なかったりというのはあった」と不満もあったという。

 今大会でのFVS導入に際して、何度もシミュレーションを行っていたという船越ジャパン。スタッフと無線で交信しながら「いや、違います。これはやめといた方がいい!」「今!」といった緊迫のやり取りが行われており、選手から「あのときなんで出してくれなかったんですか」といった声もあったという。

 さらには、「(リクエスト権の)カードを出すまでは、引っ込めることができると聞いていたんですけど、実際に行ってみると回したらもう絶対に出さないといけないとか」と、審判員も正確なルールを認識できていない場面もあったようだ。今大会の試験的導入を経て、今後どのように運用されるのか注目だ。

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