Jユースのオファーを断り「選手権に出たい」…強豪校に食い込む注目の”1年生”「今までにない経験」

前橋育英の1年生FW中村孝成「僕もあの舞台に立ちたいな」
高校1年生のリーグ戦であるルーキーリーグ。関東・静岡の強豪校の1年生たちが凌ぎを削る『2025 関東ROOKIE LEAGUE U16』において、9ゴールで得点王に輝いた前橋育英のFW中村孝成がついにトップチームでも頭角を現してきた。
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プレミアリーグEASTにおいて中村が背負う番号は30。6月29日の第11節・横浜FCユース戦で途中出場でプレミアデビューを飾ると、2試合目は9月15日の第13節・鹿島アントラーズユース戦で訪れた。
1-2で迎えた69分に投入されると、得意の背後への抜け出しと連続した前からのプレスを見せた。だが、トップ昇格をする大川佑梧とU-17日本代表のCB元砂晏翔仁ウデンバのユース年代を代表するCBを困惑させることはできたが、打ち破ってゴールをこじ開けることはできなかった。
「負けている状況で呼ばれたので、自分が結果を出そうという気持ちで出ました。裏抜けやクロスでうまく入り込むプレーの手応えはあったのですが、もっとボールを受けて仕掛ける回数を増やせたと思うので、そこは反省点としてあります」
ただ反省するだけではなく、相手の2CBに対して何を考えていたのかもしっかりと教えてくれた。
「2人とも本当にサイズが大きくて強いので、競り合いでは勝てないと思った。だからこそ、裏抜けのパターンとしては自分が落ちてから『Vラン』の形で抜けることを狙ったのですが、それでも落ちる時に食いついて強く来る時もあれば、食いつかずにラインを止める時もあって、うまく対応されてしまった印象を受けます。
だからこそ、もっと工夫が必要で、ボールを持っている人との関係性、相手の対応に対する身体の向きなど、普段の練習から意識していることをもっと磨いていきたいと思いました」
堂々とした受け答えは1年生とは思えない。常に自分にベクトルを向けて課題や武器を把握しながら、積み上げてきた自信で「ピッチに立ったら学年は関係ないと思っている」と積極的にプレーをする。だからこそ、百戦錬磨の名将である山田耕介監督も信頼を持って中村を抜擢している。
「小学生の時に高校選手権を見て、そこで青森山田の松木玖生(サウサンプトン)選手が、1年生ながら出場をしてベスト4に進出したのですが、その試合を見て『僕もあの舞台に立ちたいな』と思って、高校サッカーに憧れるようになりました」
中村はバディージュニアユース横浜出身。昨年はU-15日本代表に選出されるなど、注目株だったことで多くのJクラブユース、強豪校から声がかかった。
「ユースか高校かは少し迷ったのですが、選手権に出たい気持ちと、高校サッカーであればいろいろなJクラブのスカウトも見に来るので、Jクラブの選択肢、大学の選択肢も両方とても広がると思ったので高校サッカーに行くことにしました。そのなかで声をかけてもらった高校はどれも全国の強豪で、サッカーもしっかりとボールをつないだり、技術を磨いたりできるチームだったので、迷いました。でも最終的には技術だけではなく、走ることや気持ちの部分をとても大事にすると感じた前橋育英にしました」
自分で悩んで決めた環境だからこそ、ここで3年間をかけて成長角度の最大値を求めていく。この半年間はルーキーリーグでは主軸だが、トップではベンチ入りすら絡めない状況に「悔しかったけど、今までにない経験だったので新鮮だった」と前向きに捉え、FW、サイドハーフ、トップ下といろいろなポジションを経験する中で、自分の課題を発見して磨く日々を積み重ねた。
FWのポジションは3年生の平林尊琉、大岡航未の選手権優勝メンバーに加え、長身FWの四方田泰我と山西智也、2年生の立石陽向、後期から頭角を現してきた3年生・田野央哩波とライバルがひしめく激戦区。その中で努力を重ねた1年生が食い込んできたことは、チームにとっても大きな刺激を生み出している。
第14節の青森山田戦は再びベンチ外となったが、目標である1年生での選手権出場に向けて、着実に歩みを進めている。
「個人的には平林さんとプレースタイルが似ていると思うので、平林さんのボールの受け方だったり、運び方だったり、パスの精度を見て学んでいます」
恐るべきルーキーの力強い前進はまだ始まったばかり。チームの未来も背負って、中村は虎視淡々とチャンスを狙い続ける。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















