A代表入りへ海外移籍を熱望も「こだわりがある」 U-20W杯経由…「常に考えている」道筋

海外志向の強いU-20日本代表DF市原吏音
U-20アジアカップを戦ったU-20日本代表でキャプテンを務めたDF市原吏音はRB大宮アルディージャに所属しており、J2リーグを戦う日常を過ごしている。「自分らの代も少しずつ、海外に行ったり、A代表を経験している選手が出てきて、うれしい気持ちもありますし、悔しい気持ちもあります。でも、自分らの代はU-20W杯もあって、オリンピックもある良い代なので、ワクワクはしています」と前向きに語った。(取材・文=河合拓/全4回中の第2回))
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欧州で活躍する日本人選手が増えているなか、U-20年代のなかにも海を渡った選手が出てきている。チリで開催されるU-20ワールドカップ(W杯)のメンバーにも、DF喜多壱也(レアル・ソシエダB)、DF小杉啓太(ユールゴーデンIF)、FW高岡伶颯(ヴァランシエンヌFC)の3選手が海外組として招集されたが、彼ら以外にも、FW後藤啓介(シント=トロインデン)、FW塩貝健人(NEC)、FW道脇豊(SKベフェレン)と、枚挙に暇がない。また、FW佐藤龍之介(岡山)、MF大関友翔(川崎)、GK ピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋)らは、すでにE-1選手権でフル代表入りも果たし、代表キャップを獲得している。
U-20W杯について「確実に自分が中心となってやらなきゃいけないと思っています」という市原だが、A代表入りについては「今はセンターバックの選手が多く怪我をしていますし、若い選手も何人か入っています。日本代表の活動は少ないなかで、1回でも早く入れるならそれがベストですけど、今ここでめちゃくちゃ頑張って結果を残しても、すぐに行けるような場所でもないと思っています。やっぱり、ある程度のステージにいることと、そこのステージでの活躍が大事だと思います」と、J2リーグで戦っている今は、チャンスを得られる可能性が限りなく低いことを自覚する。
将来、日本代表で最終ラインを支える存在になることを目標に掲げている市原は、これまでにも他クラブからオファーを受けてきたなかでも大宮に残ってきた。それでも近い将来に欧州へ渡ることは、当然、選択肢として入れている。
「本当は20歳ぐらいで(欧州に)行きたかったんです。でも、代理人とも話しているし、しっかり考えていきたいですし、21歳、22歳の時、来年、再来年には絶対に行きたいなと思っています」と言うが、欧州のクラブであれば、どこでもいいわけでないと続ける。
「ある程度行くクラブにも、こだわりがあるので。大宮に残らせてもらった理由も、『何となく好きだから』とか、そういう理由ではありません。自分がA代表の選手になるためには、どこにいることが一番良いのかを考えているので。そのためにやっぱりタイミングと、自分が求めている条件とか、どういう監督なのかとか、やっているサッカーも大事ですけど、自分が成長できるかとか、A代表に入れるためのクラブかどうかは、常に考えています。海外のクラブだったら何でもいいわけではないですし、海外に行けばOKではない。海外に行って試合に出て活躍して、初めて海外移籍が成功って言えると思うんで、そこは本当にタイミングとチームをしっかり考えていきたいなと思っています」
所属する大宮は「J1にいなければいけないクラブ」
自身が求める条件のなかでも、最も重要視することは何か。より具体的に聞くと、「まずは試合に出てこそサッカー選手ですから、試合に出られる可能性が高いところですね。あとはリーグの特徴とか、そのクラブの特徴とかだと思います。監督がどういう考えをしているのかも大事だと思います。でも、試合に出ることが一番だと思う。そこはしっかり見極めたいと思います」と、ピッチに立てるかどうかが重要だと語った。
経験が重要とされる守備の選手でありながら、20歳にしてJ2リーグで上位争いを繰り広げるクラブで最終ラインを任されている市原だが、よりカテゴリーの高いクラブで定位置を獲得するためには、個の力を上げることも必要だ。「いろんな選手の良いところを盗みつつ、究極系……究極系かは分かりませんけど、つなげるし、止められるし、点も取れる、ファン・ダイクみたいになりたいと思っています。(パウ・)クバルシだったら、あれだけラインを上げても最後の対応もできるし、ボール扱いやポジショニングを取る早さもすごい。そうやっていろんな選手のいいところを見つけながら、盗んでいく作業も嫌いではないです」と、イングランド1部リバプールのキャプテンであるオランダ代表DFを、理想像として挙げた。
まもなく開幕するU-20W杯で活躍を見せれば、欧州からの関心も高まるだろう。また、大宮がレッドブルグループに入っていることも、日本の注目株である市原の後押しになるかもしれない。将来的に欧州へはばたく可能性が高い市原だが、日本でプレーしている間に、必ず成し遂げないといけないと感じていることがあるという。
「大宮をJ1に復帰させること。それを実現してから海外に行けたらベストだと思っています。そもそも、ここ(J2)にいていいクラブじゃない。J1にいなければ、いけないクラブだと思っているので。J1から長く離れ過ぎているので、J1に戻した一員になれたら嬉しいです」と、2017年のJ2降格から早9年、トップカテゴリーに戻れていないクラブのJ1復帰を自身の達成すべきノルマに掲げた。
(河合 拓 / Taku Kawai)





















